加藤嘉

加藤嘉かとうよし

1913~1988年

プロフィール

東京都出身。1936(昭和11)年に、新築地劇団付属研究所に入所。卒業後、入団し、「桜の園」「土」「どん底」などに出演。20代の頃から、老け役を演じるなど、当時から、演技力に定評があった。応召後、横須賀海兵団に入隊。終戦を迎える。戦後は、舞台から映画、テレビなど幅広く活躍。映画では、今井正監督、内田吐夢監督など多くの巨匠に重用され、出演本数は360本以上におよぶ。国内外で数々の賞を受賞した昭和の名優のひとり。

映画『砂の器』(74)撮影風景 右から加藤嘉、野村芳太郎、橋本忍

映画『砂の器』(74)撮影風景 右から加藤嘉、野村芳太郎、橋本忍

野村芳太郎監督作品とのかかわり

20作品に参加。名優のほまれが高かった加藤嘉は、野村監督からの信頼も厚く『拝啓天皇陛下様』(63)で、渥美清演ずる主人公を温かく見守る中隊長、『五瓣の椿』(64) 『おはなはん』(66)では、岩下志麻演ずるヒロインの父親、など、様々な役柄を演じた。映画『砂の器』は、脚本が完成した1961年に、春の桜の中を巡礼の親子が歩むシーンを撮影。その後、企画が頓挫しかけ、完成までに15年を要したが、製作再開後、巡礼の父親役を演じたのは、61年の撮影にも参加していた加藤嘉だった。