連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【シリーズ13】」
鈴木建設の設計部で働く“ミス・ススゲン”役に鈴木京香、富山の薬問屋・天狗堂の会長役に丹波哲郎が登場した「13」。
本木克英監督にバトンタッチした「11」以降、ドラマ感が強かった「釣りバカ」ですが、今回は久しぶりに破顔全開!なノリで、個人的にも大好きな1本となりました。
まず度肝を抜かれたのが、丹波哲郎の味わい深さです。彼の全盛期を知らない自分ですが、タダモノでない感が横溢しすぎていて、すぐさま釘付けに。
日本刀や甲冑を収集し、ルー語のような英語を操る霊感強めの天狗堂(名前も最高)会長という役どころがフィットしすぎていて、画面にいるだけでどうにも嬉しくてホクホク。キレどころがわからない怖さもいい緊張感となって、まさにすべてを持っていくスターなのでありました。うーん、天狗堂会長のスピンオフが見たいよう。
そして鈴木京香演じるキャリアウーマン、桐山桂のエピソードもなかなか沁みました。
美人で切れ者で度胸もある彼女は、“ミス・ススゲン”と呼ばれるほど社内でも目立つ存在。そんな桂を見初めた天狗堂の会長が息子の嫁として彼女をもらうかわりに、鈴木建設に工事を発注するというむちゃくちゃな提案がなされます。
思いっきり人身売買ですけど、働き女子にはこの手の話が無きにしもあらず。
ただ一生懸命仕事がしたいだけなのに、結婚していないというだけで接待に同伴させられたり、やたらと詮索されたりと、面倒に巻き込まれるんですよね……。「頼むからフツーに仕事させてくれ!」と、桂になりかわって叫んでいる自分がいました。
そんな苦い記憶もフラッシュバックしましたが、リアルなハマちゃんの生首や肥えていた頃のパパイヤ鈴木、そして八郎がまさかの…!など、今回も盛りだくさんでありました。とにかく暑い今日この頃、涼しいお部屋で「釣りバカ」ウォッチが一番ではないでしょうか!
文 小泉なつみ
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