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連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【シリーズ14】」

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 世界に一つだけの花が咲いたり、世界の中心で愛を叫んだりしていた2003年に放たれた「14」は、三宅裕司と高島礼子のアダルトな恋模様と、ハマちゃんスーさんのお遍路旅が楽しい1本。
 本作でシリーズ初登板となった朝原雄三監督でありますが、三宅裕司扮する岩田課長とハマちゃんによるブルージーなセッションや、高知よさこい祭りをたっぷりと魅せてくれ、なんとも豪華でダイナミックな作りになっておりました。

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 そして「14」で考えさせられたのは、「良き夫婦」「良き伴侶」について。
 岩田課長は鈴木建設の重役たちからも期待を寄せられているエリートサラリーマンですが、プライベートはバツイチの寂しい男で、カーテンレールに引っ掛けた洗濯もの干しから直接下着を取って着るような殺伐とした一人暮らしをしています。かつてみち子さんに片思いをしていた過去もあり、「彼女はお前のどこに惚れたんだよ」と、いまだにハマちゃんにジェラシーを感じているのでありました。
 そんな岩田課長が、高島礼子演じる男勝りのトラック運転手・みさきに一目惚れ。仕事も手につかないほど心を奪われてしまった彼は、みさきの地元・高知へ飛び、結局会社を“寿退社”するのです。
 これまでの地位や生活を捨て、漁の手伝いをしながら生活する岩田は日焼け顔に無精髭姿。でもやっぱり、いい顔してるんですよね。彼は「ここには愛がある」と言っていましたが、「それさえあればどうやったって生きていけるよね」ということを画でみせきったエンドロールにぜひ注目を。

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 一方、寝ても覚めても釣りばかりのハマちゃんを夫に持ったみち子さんは、スーさんの「退屈しませんか?」という問いに対し、笑いながらこう答えていました。

「どんなことがあっても私、ハマちゃんの釣りは邪魔しないことにしてるの。だって本当に楽しそうだから」

 ほんとみち子はいい嫁やなあ(呼び捨て)。
 たとえばゴルフ。たとえば酒。たとえば音楽。
 夫の趣味を全力で応援し、笑顔で送り出せる妻ってなかなかいないと思うんですよ。CDをバカスカ買われたら邪魔だし、自分も遊びたいのに夫は週末もゴルフで不在とか、ねえ。そもそも、突然の来客を笑顔と瓶ビールでもてなすなんて、自分には絶対にできません。
 みち子さんは世の男性が求める理想の妻像なんだと思いますが、ハマちゃん自身も、「みち子さん感謝デー」と題して家事育児から解放してあげたり、日々愛を伝えたりと、素敵な夫であることは間違いなし。だからこその理想の夫婦なんだなと改めて納得した次第。そして今回、「合体」に至るまでのみち子さんの求愛シーンも斬新です!


文 小泉なつみ

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釣りバカ日誌14

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