第73回 ベルリン国際映画祭『青春残酷物語』上映レポート
第73回ベルリン国際映画祭レトロスペクティブ部門のYoung at Heart – Coming of Age at the Moviesにて、大島渚監督作品『青春残酷物語』(1960年製作、英題:Cruel Story of Youth)4Kデジタル修復版の上映が、2月20日(月)13:30~(※現地時間)行われました。
Young at Heart – Coming of Age at the Moviesは、ベルリン国際映画祭レトロスペクティブ部門で行われる、各国の著名な映画人達が青春映画として選んだ作品を上映する特集イベントです。
特集イベントが行われた会場は、全236席あるCineStar CUBIX 6。チケットは事前にソールドアウトとなり、老若男女様々なお客様で賑わったイベントとなりました。会場の熱量が高まる中、『君の名前で僕を呼んで』などの作品で知られる推薦人のルカ・グァダニーノ監督による『青春残酷物語』紹介ビデオメッセージとともに、上映が開始されました。
『青春残酷物語』紹介ビデオメッセージ(Youtubeチャンネル Deutsche Kinemathekより)
大島渚監督は私にとって最も好きな映画監督の一人です。大島監督は今でも、ヌーヴェルヴァーグ、ニューウェーブ全盛期が生んだ、最もパワフルで反体制的な監督のひとりであり、日本のヌーヴェルヴァーグの先駆者です。この「青春残酷物語」でも彼はこのテーマに取り組み、彼の人生観における、すべての権威への幻滅を、登場人物を通して描いています。大島監督は最も偉大な形式主義者でありながら、他に類を見ない鮮やかさと燃えるようなエネルギーの作品を産み出します。皆さんが私のように彼の映画を愛することを心から願います。
ルカ・グァダニーノ
『青春残酷物語』4Kデジタル修復版/”Cruel Story of Youth” 4K Digitally Remastered Version
監督:大島渚
脚本:大島渚
出演:桑野みゆき/川津祐介/久我美子 他
製作年:1960年
<あらすじ>
中年の男にホテルに連れ込まれそうになった真琴は、大学生の清に助けられた。その後ふたりはお互いをいたぶるかのように遊び、身体を重ねていく。清は人妻と不倫していたが、真琴のことが忘れられず、やがてふたりは同棲をはじめ、美人局で金を稼ぐようになる。しかし、まもなくして真琴が妊娠していることが発覚。子どもを堕ろせという清に反発し、真琴はアパートを出ていくが……。
<4K修復について>
修復はフル4K(4Kスキャン、4K修復、4KDCP制作)で行い、画像監修は当時のキャメラマンで大島監督の盟友、川又昻氏と『小さいおうち』(2014年山田洋次監督)のキャメラマン近森眞史氏が担当。退色したネガから、鮮やかな色彩と深い暗部を徹底的に再現、傷を修復しました。当時の、手持ち小型キャメラを駆使した野外撮影によって、ネガに付着した粉塵も除去しました。
サウンドも同様に、ネガフィルムの経年劣化による音質の変化と様々な原因でできたノイズを、当時の録音機材、劇場の再生環境等を考慮して、当該箇所毎に細かく修復を実施。公開当時の興奮と熱狂を呼び起こすようなデジタル修復となっており、2014年のカンヌ国際映画祭クラシック部門でワールドプレミア上映が行われました。
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