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【連載】野村芳太郎監督再発見プロジェクト ~多彩なる多才のアルチザン~ ❶

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【はじめに】

2025年4月。

野村芳太郎監督の再発見再評価を目的としたプロジェクトが始まりました。

今後、月1回、野村芳太郎監督に関するコラムをお送りします。

初回は、このプロジェクトと野村芳太郎監督に関するご紹介です。

 

【プロジェクトタイトルについて】

映画『砂の器』で知られる野村芳太郎監督。生涯で手掛けた映画は88本を数えます。

作家性を発揮しつつ、職人監督として様々なジャンルの映画を手掛け、

あくなき挑戦を続けた映画人としての功績に尊敬を込めて、今回のプロジェクトタイトルを

「多彩なる多才のアルチザン 映画監督野村芳太郎」

と致しました。

 

【野村芳太郎監督とは】

日本映画の草創期に活躍した野村芳亭監督のひとり息子として誕生。

松竹蒲田撮影所を遊び場として育ちました。

1941年に松竹大船撮影所入社。従軍を経て、撮影所に復帰した後は、川島雄三や黒澤明ほか

助監督として経験を重ね、1952年『鳩』で監督デビューしました。

青春もの、ラブコメ、ミュージカル、女の一代記、メロドラマ、時代劇、

そして、代名詞ともなっている重厚なサスペンスもの、と幅広いジャンルの作品を手掛け、

その確かな演出力で、次々と、ヒット作品を世に送り出しました。

 

構想から、15年の歳月をかけて、脚本家橋本忍をはじめとする熟練のスタッフ、キャストと共に、

完成させた映画『砂の器』もその中の1本です。

 

映画『砂の器』撮影風景

 

【映画人としての功績】

黒澤明監督は、自身の作品に助監督として参加した野村を「日本一の助監督」と絶賛。

ほぼ同い年の脚本家の橋本忍を紹介し、二人は、共に数々の名作を世に送り出す盟友となりました。

また、野村は、監督として、会社からの求めに応じて、幅広いジャンルの作品を多数手がける中で、

山田洋次、森崎東、大島渚をはじめとする撮影所の後輩の才能の開花に助力を惜しみませんでした。

 

後に、自身の起こしたプロダクションでも、プロットづくりや脚本など、さまざまな形で

若い世代と積極的に映画やドラマ作りに挑み、常に新しい流れを生み出そうと、挑戦を続けました。

その功績も、作品と同様に、日本映画史に刻まれるべきものです。

 

映画『砂の器』撮影時の野村芳太郎監督

【プロジェクト内容】

公開50年を超えた今も愛され続けている映画『張込み』(58)『砂の器』(74)をはじめとする

松本清張原作の社会派サスペンスものだけにとどまらず、

文芸作品でありながら、当時のアイドル映画といっても過言ではない

17歳の美空ひばり主演した瑞々しい『伊豆の踊子』(54)。

水前寺清子、コント55号、ほか人気スターが総出演する娯楽映画。

『拝啓天皇陛下様』(63)をはじめとする寅さん以前の渥美清と共に送り出したコメディの数々。

銀幕の大スター佐田啓二が、出演者ではなく、企画の立場で参加した

ドキュメンタリータッチでシャープな映像も印象的な『左利きの狙撃者 東京湾』(62)。

予期せぬ病に翻弄され、次第に追い詰められていく家族の姿を描いた『震える舌』(80)など、

普遍性があり、改めて、現在のお客様にご覧頂きたい作品が多数あります。

 

2025年の「没後20」年を皮切りに、2029年の「生誕110年」までの期間を中心に

野村芳太郎監督の作品と映画人としての功績の再発見、再評価の為に、

様々な施策を積極的に展開します。新しい情報は、この公式サイトにて、随時発表します。

RESPECT 野村芳太郎

どうぞお楽しみに。

 

野村芳太郎監督プロジェクトロゴ