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『風の中の牝雞 4Kデジタル修復版』第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門にてワールドプレミア上映決定!

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このたび小津安二郎監督戦後2作目の作品『風の中の牝雞(めんどり)』(1948年製作、英題:A Hen in the Wind)が、第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門(ヴェニス・クラシックス)に選出され、ワールドプレミアを行うことが決定しました。

ヴェニス・クラシックスは、2012年に設立されたヴェネチア国際映画祭の一部門で、過去1年に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出されます。今回、日本映画からは他に『殺しの烙印』(鈴木清順監督)、『神々の深き欲望』(今村昌平監督)の計3作品が選ばれました。

 

来年2023年に生誕120年を迎える小津安二郎監督の作品は、これまでも数々の映画祭での上映が行われ、その度に観客から喝采を浴び、再評価を高めてきました。

今回で小津安二郎監督作品のデジタル修復版が世界三大映画祭クラシック部門へ選出されるのは、2013 年のベルリン国際映画祭の『東京物語』以来、9作目となります。来年の生誕120年に向け、さらに世界からの注目を集める、スタートにふさわしい素晴らしい機会となります。

『風の中の牝雞』(かぜのなかのめんどり/英題:A Hen in the Wind/1948年公開作品/82分)

  監督:小津安二郎

  脚本:斎藤良輔、小津安二郎

  出演:田中絹代、佐野周二、三宅邦子、笠智衆             

<あらすじ>

東京の下町で間借り暮しをする雨宮時子(田中絹代)は幼い息子・浩を抱えて夫・修一(佐野周二)が戦争から復員するのを待ちわびていた。ミシンで洋裁の仕事をしながら、手持ちの着物を売るなどして慎ましく暮らしていたが、ある日、浩が突然の発熱をしてしまう。病院では急性大腸カタルだと診断され、なんとか命を取りとめることができたが、その医療費の支払いをすることができない。途方に暮れた時子は、一度だけいかがわしい安宿で見知らぬ男に体を売ってしまう。時子は、自分の犯した過ちを心から悔やむのだったが、そんな時、夫の修一が帰ってくる。浩の入院のことを知った修一に、その支払いをどうしたのか問い詰められ、追い詰められた時子はついにすべてを打ち明けてしまうのだった…

本作は小津監督の戦後2本目の作品として戦後間もない時期に製作され、戦後の日本が抱える厳しい現実に焦点を当て、苦悩する女性の姿を描いた異色作。主演の田中絹代の迫真の演技は鬼気迫り、クライマックスの階段落ちのシーンは観るものを圧倒してきました。小津監督の作品の中でもひときわ異彩を放つ作品であり、後期の小津調のスタイルに到達する前夜の、感情がぶつかり合う描写は注目に値する一作となっています。

<4Kデジタル修復について>

松竹は小津安二郎監督作品『風の中の牝雞 』の 35mm デュープネガをフル 4K(4K解像度( 4096× 3112 )スキャン、4 K デジタル修復、 4KDCP )で修復しました。

画像修復は、近森眞史キャメラマンに監修いただき、イマジカにて修復作業を行い、音声修復は、35mm デュープネガから 96kHz24bit でデジタイズし、電源、キャメラ、光学編集、ネガのキズや劣化等、様々な要因によるノイズ、レベルオーバーによる歪みを、原因に立ち返って類推し、清水和法さん監修のもと松竹映像センターにて修復。小津安二郎監督の製作意図を尊重して修復する事を主眼に作業しております。

本作は、国際交流基金の助成により修復いたしました。

 

<第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック映画部門(ヴェニス・クラシックス)>

会期:2022年8月31日(水)~9月10日(土) ※本作の上映日時は調整中です

映画祭公式サイト: https://www.labiennale.org/en/cinema/2022

          https://www.labiennale.org/en/news/venice-classics-restored-films-79th-venice-film-festival

小津安二郎公式Webサイト: https://www.cinemaclassics.jp/ozu/