シリーズ通算20作目となる「18」の舞台は岡山県。倉敷市や高梁市など、今夏の豪雨被害の被災地も登場しており、胸が痛みました。
　しかしやっぱりそこは「釣りバカ」。瀬戸内の魅力を景色や方言、魚や郷土料理などで伝えてくれていて、思わず岡山への旅を夢見てしまう魅力に溢れていたのでありました。

　そして「18」最大のポイントが、スーさんのカムブワァァァアック！であります。
　ついに社長職を退き会長となったスーさんは自身の認知症を疑い、日常を離れて岡山へとふらり旅立ってしまうのですが、栗山富夫監督時代、つまりは初期シリーズの定番だった“困ったスーさん×それを助けるハマちゃん”という王道展開が久しぶりに復活。それにより、ここのところずっと影の薄かったスーさんが物語のメインに帰ってきたのであります。

　鈴木建設が絡むリゾート開発の反対運動にヒロイン（檀れい）が参加しているあたりなど、五月みどりが登場した「3」を踏襲しているようで、ファンには懐かし嬉しい1作となっておりました。
　さらにもうひとつの大きなポイントが、豪華かつバラエティに富んだ“笑い”を生業とする方々の参戦。
　ワハハ本舗からは佐藤正宏に梅垣義明、松竹芸能からは渋谷天外と増田英彦（ますだおかだ）、安田大サーカス、吉本興業からは石田靖、そしてラスボス的に登場する小沢昭一と、「釣りバカ」でなければ顔を揃えることはなかったであろう面々がちょこちょこ登場するので、決して見逃せないのであります。

　はっと気づけばこのコラムも20本目。残すところあと2本となりました。
　みち子さんが浅田美代子になってから「合体」率がほぼ100％になったことや、ハマちゃんと前原運転手の衰えぬ性欲問題など、毎回気にはなっているけど書けなかったこともあったりして（全部シモネタ）、あと2本でそれを消化できるのかどうか、考えながらやっていきたいと思います。しかしオールドスクールな「18」、大好物な1作でありました！

文　小泉なつみ

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