連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【シリーズ16】」
2005年に放たれた「16」は、ミュージカルありライブあり、さらには米海軍まで巻き込んだ銃撃シーンもありで、めちゃくちゃエンタメ度の高い1本でありました。
橋の連結式に参加するべく長崎県佐世保市へ赴いたハマちゃんは、支社で働く達也(金子昇)が、恋人・美鈴(伊東美咲)との結婚に悩んでいること知ります。
その悩みのタネこそ結婚に反対する美鈴の父の存在で、演じていたのはまさかの尾崎紀世彦。晩年の頃とはいえ顔面力は衰えておらず、金子昇の顔が“うすしお”に思えるほど特濃で、義父でなくてもその圧にやられるよなと思いました。
そんな尾崎紀世彦がハマちゃんと共にオリジナル曲を熱唱するライブシーン、娘役の伊東美咲に「焼きそば作ってくれ」と言い放つ場面は、他では決してお目にかかれない貴重なシーンでしょう。
貴重といえば、本作のカギを握る存在と言っても過言ではないボビー・オロゴンの存在です。米海軍所属の軍人として登場したボビーは、釣りを通じてハマちゃんと意気投合。しまいには酔った勢いでイージス艦にハマちゃんを乗船させてしまい、軍法会議(ボビー流には“カンポー”会議)にかけられる大事件を引き起こしてしまいます。
艦内で巻き起こるハマちゃんVS米海軍の追走劇はシリーズ屈指の緊張感で、そこだけ切り取れば完全にサスペンス。最終的には銃弾まで響き渡り、「釣りバカ」史上もっともバイオレンスな名シーンに仕上がっておりました。
さらにボビーは三國連太郎とも共演し、「お前バカかよ?」といつもの調子でトーキング。本作、というか映画史的にも貴重で味わい深い名シーンをいくつも生み出していました。
本作から13年経った今、ますます彼の存在感が増していることを思うと、ボビーの如才なさを感じずにいられません。
そして私がもっとも2005年らしさを感じたのが、伊東美咲と平山あやの髪型。この頃、シャギーとレイヤーをバリバリに入れる髪型が流行っていて、猫も杓子もこんな髪型をしていましたよね(もちろん自分も)。さらに岡本玲のカウガール姿や、さだまさしのオラついた刑事など、あらゆる点で見逃し禁止な「16」でありました!
文 小泉なつみ
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「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます」
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