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映画『釣りバカ日誌』よもやま話 【その19】

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【はじめに】
映画『釣りバカ日誌』シリーズは、時代が平成に変わる1988年12月24日お正月映画として、第1作が公開されました。
バブル景気やゼネコン疑惑など移り行く時代を背景に、建設会社の社長「スーさん」と平社員である「ハマちゃん」の釣りを通して結ばれた立場逆転の風変わりな友情を軽やかに描いたこの作品は、2009年に至るまでスペシャル版と時代劇版を含む全22作品が製作された人気シリーズです。

【撮影の思い出】
シリーズ全作品の現場に参加した唯一のスタッフである岩田均さんに、撮影当時のお話を伺いました。
岩田さんのプロフィールは、コチラ
https://www.shochiku.co.jp/cinema/history/interview/vol-4/

【今回の作品】
映画『釣りバカ日誌19』
2008年10月25日公開。

- 鈴木建設にカードキーが導入されました。
丁度この頃、製作している松竹で「カードキー」が導入されました。プロデューサーか誰かが脚本の山田洋次さんと雑談をしている時にそんなお話をしたのがきっかけで、今回ネタとして登場したと思います。以前の作品でも営業三課で「ボードに行き先を書く」「人事評価制度」といった会社の話が出てきていますが、その時と同じですね。

- ハマちゃんは馴染めずにいますね。
松竹の本社で働いている社員は、そんなに違和感がなかったのだろうと思いますが、我々のように撮影現場で働いている社員は、朝原監督以下、なかなか慣れることができないでいたのでした。ハマちゃんと同じですね、アハハハハ。

鈴木建設にもカードキーが導入された!

- ロケ地のメインは佐伯市ですね。
佐伯市では、ロケハンに行った小学校のプールで「マンボウ」を飼っていてびっくりしました。それくらいのんびりした良いところで、港も橋もこじんまりしています。画面の広がりを考えると、もう少し別の画が必要だということで、別府市でもロケ撮影をしています。

- その他、印象的だったことはありますか。
常盤貴子さん演ずる波子と山本太郎さん演ずる大輔が、夜に車の中で話しているシーンがあります。普段だったら、別の車で撮影用の車をけん引して、走らせながら撮影するのですが、この時は港に車を停めて、周りのスタッフが車を揺らし、動いているように見せて撮影しました。周りが何もなく、本当に真っ暗になるからこそ、できたことなんですよ。

- 今回のゲストは常盤貴子さんです。
常盤貴子さんはさっぱりしたステキな方で、撮影現場にマネージャーやお付きの方もなく、お一人でいらしていました。『釣りバカ日誌』では、加藤武さんや鶴田忍さんなどお馴染みの方々がお一人でいらっしゃることはよくありますが、流石にゲストの方では、あまりないことです。しかも女優さんですからね!

- お一人で行動されていたのですか。
別府温泉のホテルに泊まった時は、夕飯がバイキング形式でした。その時にお誘いしたら、常盤さんは製作部や演出部のスタッフに混ざって、普通に同じテーブルで話ながらお食事されていました。ビックリ!

- 先日のテレビ番組で、今もロケ先の「佐伯市に何度も通っている」と仰ってました。
そのお話を伺って、意外にも不思議に思いませんでした。撮影の時も、街の方々と気さくにお話されていましたので!行きつけのお店も出来ていたようでしたし、もちろん西田さんとも夜にお出かけされてました。三國さん御夫妻もそうですが、『釣りバカ』シリーズでは地方ロケで知り合った方と、長いお付き合いを続けている方が何人かいらしゃいますね。私もその一人です!

社員旅行でのハマちゃんと波子

- 社員旅行は、シリーズで初めてですね。
営業三課の面々が出てくるのは会社の周りがほとんどゆえ、地方ロケが初めてということで皆さん張り切っていました。佐伯市さんがお見せしたいと思っていたのが、大分空港から大分駅への移動に使われる「ホバークラフト」です。いかにも「社員旅行」で使用する感じの乗り物ですよね。宴会シーンでは西田さんとふせえりさんがお二人で「宴会芸」をされたのですが、綿密に打ち合わせをしていないのに息がピッタリでした。

- 後に政治家に転身された山本太郎さんも御出演です。
この時も脚本が固まるのに時間がかかったので、山本さんの役柄も二転三転しました。先程「俳優さんがお一人でロケ撮影にいらっしゃるのは珍しい」とお話したかと思いますが、実はこの時、山本太郎さんもお一人でいらしていて、時間が出来るとサーフィンに出かけられていました。

社員旅行でバーベキュー

- 波子の兄を演じた竹内力さんは、佐伯市のご出身ですね。
そうです!撮影でも、朴訥とした妹思いの兄を演じる中で、漁師らしくご自分でお魚をさばいてくだったり大活躍だったのでしたが、撮影の後、夜に出かける時も西田さんのことをおもてなしする為に、細やかな御心配りをされていました。カラオケの微調整までされていたくらいです!繊細で優しい方です。

- 「おもてなし」をされていたのですね。
実は、竹内さんにもお付きの方はいませんでした。なので、常盤さん山本さん竹内さんと御出演のお三方が、お一人で撮影に参加されていた、という訳です。『釣りバカ日誌』の撮影現場の独特の和気あいあいとした雰囲気への安心感もあったのかもしれませんね。

今日も大漁のハマちゃん

- この時の撮影にも佐伯市の方々が協力して下さっていますよね。
波子の実家での宴会シーンは、親戚が集まっている和やかな雰囲気がよく出ていると思います。それもそのはず、主要な役者さん以外は、皆その土地に暮らしている方々なのです。お互いよく知っている同士だから、普段とあまり変わらな感じだったのだと思います。とはいえ、皆さんお芝居も指示通りにされていて上手いですよね。演出部の力でもあると思いますが。

後ろで見守っているのは、佐伯市の皆さん

- 最後の披露宴のシーンでは、三國連太郎さんの御子息の佐藤浩市さんが出演されています。
撮影中は佐藤浩市さんが出演されていることを伏せていましたので、毎日関係者に配布するスケジュール表にもダミーの名前を入れました。ご本人が撮影現場にいらっしゃるタイミングも、撮影が始まってからにしました。

- スタッフと一部の方しか知らなかったのですね。
披露宴のシーンなのでエキストラの俳優さんが多数参加していたのですが、登場された時には本気で驚いてどよめきが起きました。公開後に劇場で観ていたら、お客様も同じように驚かれていて楽しかったです。

佐伯市で釣りを楽しむハマちゃんとスーさん

〈その20に続く〉

映画『釣りバカ日誌』シリーズ
商品 (DVD・DVD―BOX)
https://www.shochiku-home-enta.com/c/series-turibakanisshi

土曜だ!釣りバカ!
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