松竹シネマクラシックス

  1. トップ
  2. 『魚影の群れ 4Kデジタルリマスター版』第83回ヴェネチア国際映画祭・ワールドプレミア上映決定!

『魚影の群れ 4Kデジタルリマスター版』第83回ヴェネチア国際映画祭・ワールドプレミア上映決定!

カテゴリ:, ,

80年代のデビュー直後から、新人やアイドルを起用したヒット作を生み出し、国内外の映画人に多大な影響を与え続ける伝説の映画監督・相米慎二。近年、旧作のデジタル修復版が国際映画祭で観客の熱狂的な支持を集め、その映画史的価値への再評価が世界規模で急速に高まっています。

このたび、緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市ら日本映画界を代表する名優たちが競演し、大間のマグロ漁師たちの生と死、濃密な愛憎劇を描いた屈指の名作『魚影の群れ』(1983)のデジタルリマスター版が、第83回ベネチア国際映画祭クラシック部門に選出されました。40年の時を経て鮮烈に甦る、人間の業と魂の咆哮にぜひご注目ください。

今年のクラシック部門には、アンジェイ・ワイダ『灰とダイヤモンド』、ジョン・カサヴェテス『ミニー&モスコウィッツ』、ロベルト・ロッセリーニ『イタリア旅行』などの他、ルイス・ブニュエル、エルンスト・ルビッチ、 ロマン・ポランスキー、ロジャー・コーマン、アン・ホイ、アレクサンダー・クルーゲ、ニン・イン、ティント・ブラスなど世界の映画史に名を刻む名匠の19本が選ばれており、『魚影の群れ』は日本からの唯一の選出作品となりました。

ヴェネチア国際映画祭公式サイト:https://www.labiennale.org/en/cinema/2026(開催日程:2026/9/2~12)

ヴェニス・クラシックスは、2012年に設立されたヴェネチア国際映画祭の一部門で、過去1年間に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出されます。松竹からは、2012年以来の通算8回目の選出となります。

<過去の出品作品>
  2012年 木下惠介監督『カルメン故郷に帰る デジタル修復版』
  2013年 小津安二郎監督『彼岸花 デジタル修復版』
  2014年 加藤泰監督『ざ・鬼太鼓座 デジタルリマスター版』 
  2017年 小津安二郎『お茶漬の味 4Kデジタル修復版』
  2020年 今村昌平監督『復讐するは我にあり 4Kデジタルリマスター版』 
  2022年 小津安二郎『風の中の牝雞 4Kデジタル修復版』 
  2023年 小津安二郎『父ありき 4Kデジタル修復版』

<作品情報>
『魚影の群れ 4Kデジタルリマスター版』 英題:The Catch 4K Digitally Restored Version 140分 1983年公開作品
監督:相米慎二 脚本:田中陽造
出演:緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市、三遊亭円楽、十朱幸代

<概要>
青森県下北半島最北端の漁港を舞台に、厳しい北の海で小型船を操り、孤独で苛酷なマグロの一本釣りに生命を賭ける海の男達と、寡黙であるが情熱的な女達の世界を描く。幾度か映画化を企画されながら断念されてきた吉村昭の原作を、相米慎二監督がついに壮大なスケールで製作した壮絶なドラマ。
<あらすじ>
津軽海峡のマグロの一本釣り漁は、6月中旬から9月までが勝負。小浜房次郎も大間港から船を出すマグロ漁師で、夜明けまで餌のイカをとって帰り、仮眠の後再び沖に出る。
ある日、娘のトキ子が結婚したいから男に会ってくれと言う。町で喫茶店を営む男・俊一は、養子で漁師になると言う。マグロ漁に命を賭けてきた房次郎は、蔑まれたようで腹がたった。俊一は大間に越してきて、毎朝房次郎を待ちうけ、漁を教えて欲しいと頭を下げる。10日以上も無視し続けた房次郎だが、船に乗り込むのを許したのは、トキ子が、妻アヤのように家を出てしまうのを怖れたからだった…。

作品情報はこちら

『魚影の群れ』4Kデジタル修復について
 現存する35㎜オリジナルネガから4K解像度(4096×3072)で高精細スキャンしたデータを元に、フル4K環境での映像修復により、1983年公開当時のオリジナル版フィルムが放つ輝きを現代に蘇らせることを目指しました。
特に物語の核となる海上のシーンでは、フィルム上に付着したダストゴミや傷の除去に細心の注意を払い修復しました。波の繊細な動きや光を損なうことなく、ゴミのみを丁寧に除去する作業は極めて難易度の高いものでした。画像は本作の撮影監督である長沼六男キャメラマンに監修いただき、巨大マグロとの死闘に命を賭ける男たちを脅威的な長回しで映し撮った過酷な現場の熱を再現しました。
音声もオリジナル音ネガから96kHz24bitでデジタイズ後、経年劣化によって生じたノイズを丁寧に処理しました。更に音声最終仕上げに本作の音響効果を担当した故・小島良雄氏のご息女で自身も音響効果としてご活躍中の小島彩氏と、若き相米慎二と日活時代を共に過ごし、その後も日本映画の名作の数々を手掛けている録音技師の小野寺修氏の両名による音響監修は、北の大海原に展開される人間ドラマに深みを与えています。画面外から聞こえる効果音の調整は、相米監督の演出の意図をよく知るお二人だからこそ実現できた作業と言えます。
本作は松竹映像センターにて画・音声ともに修復を行ないました。

相米慎二監督プロフィール
1948年、岩手県盛岡市に生まれる。71年、中央大学文学部を中退し、日活撮影所に契約助監督として入所。その後フリーとなり、長谷川和彦、寺山修司らの助監督をつとめる。80年、『翔んだカップル』で監督デビュー。続く第2作『セーラー服と機関銃』(81)はその年の日本映画を代表する大ヒットを記録する。これら2作品は薬師丸ひろ子を主演に迎えた商業映画であったが、長回しを多用した大胆なカメラワーク、また俳優に対する厳しい演技指導など、独特のスタイルが映画ファンの間で大きな話題を呼ぶ。82年、長谷川和彦の呼びかけによってディレクターズ・カンパニーの設立に参加。その後も『魚影の群れ』(83)、『ションベン・ライダー』(83)、『雪の断章-情熱-』(85)などの話題作を監督。唯一のにっかつロマンポルノ作品である『ラブホテル』(85)も高い評価を受けた。85年に開催された第1回東京国際映画祭では『台風クラブ』がヤングシネマ大賞を受賞、審査員をつとめたベルナルド・ベルトルッチに絶賛される。同作品はフランスやアメリカなど海外でも公開され、相米慎二の海外での評価のきっかけとなる。93年、『お引越し』(93)がカンヌ映画祭「ある視点」部門で上映。『あ、春』(98)はベルリン映画祭パノラマ部門に選ばれ、国際批評家連盟賞を受賞。同時にキネマ旬報ベストテンの第1位に選出される。2001年には『風花』がベルリン映画祭フォーラム部門で上映。その後新作の撮影に向けて準備を行っていたが、同年9月9日、肺がんにより53歳の若さで急逝。その13本の監督作品は多くの監督たちに影響を与え続けている。没後10年を迎えた2011年に東京フィルメックスで行われた特集上映をきっかけに、翌2012年に開催されたエジンバラ映画祭、ナント三大陸映画祭、シネマテーク・フランセーズでの全作品の回顧上映により、国際的な評価がさらに高まった。2023年のベネチア映画祭クラシック部門で『お引越し』が上映され、最優秀復元賞を受賞している。