松竹シネマクラシックス

  1. トップ
  2. 映画『釣りバカ日誌』よもやま話 【その13】

映画『釣りバカ日誌』よもやま話 【その13】

カテゴリ:

【はじめに】
映画『釣りバカ日誌』シリーズは、時代が平成に変わる1988年12月24日お正月映画として、第1作が公開されました。
バブル景気やゼネコン疑惑など移り行く時代を背景に、建設会社の社長「スーさん」と平社員である「ハマちゃん」の釣りを通して結ばれた立場逆転の風変わりな友情を軽やかに描いたこの作品は、2009年に至るまでスペシャル版と時代劇版を含む全22作品が製作された人気シリーズです。

【撮影の思い出】
シリーズ全作品の現場に参加した唯一のスタッフである岩田均さんに、撮影当時のお話を伺いました。
岩田さんのプロフィールは、コチラ
https://www.shochiku.co.jp/cinema/history/interview/vol-4/

【今回の作品】
映画『釣りバカ日誌13』
2002年8月10日公開。

- 本木克英監督の3本目です。
ロケ地は、本木監督の出身地である富山県です。迎えて下さった実行委員会の方々も監督自身も力が入っていて、全県に渡って撮影が行われました。ロケ地の行く先々で炊き出しが行われたり、見物の方も多くまさに大歓迎でした。連日、監督のご両親や御親戚、知り合いの方々が熱心にロケ見学をされていて、お昼をご一緒する内にスタッフとも顔なじみになっていた位ですから。

- 出演者にも富山県出身の方が多いですよね。
左時枝さん、梅津栄さん、立川志の輔師匠と、富山県出身の方々がゲスト出演されました。富山県の方々は特に郷土愛が強いように思います。撮影の際の盛り上がりは公開の時まで続いて、県内の興行収入は1億円以上、同時期公開の『スターウォーズ』を抜いて県内で第1位だったんですよ。

伝説の釣り師に扮する富山県出身の梅津栄さんと秘境黒部渓谷のトロッコ電車にて

- 富山県内がくまなく登場します。
釣りのシーンは、蜃気楼が有名で豊かな漁場であり「神秘の海」と呼ばれている富山湾で行いました。他にも宇奈月温泉、立山連峰の天狗平、彫刻の町である井波と、県内を周回した感じです。

彫刻の町井波のシーンでも、富山県出身の左時枝さんが登場

- 富山県の老舗製薬会社の会長として、丹波哲郎さんが登場されています。
『釣りバカ』の場合、ヒロインにあたる方以外は脚本が出来てからのキャスティングですが、この会長の役は丹波さんが演じることを前提に書かれていました。いわゆる「当て書き」です。

- 丹波哲郎さんは、三國さんと映画『切腹』で共演されていますね。
丹波さんは三國さんのことを「連ちゃん」と呼んで、撮影の合間やお昼ご飯の時に仲良くお話されていました。演じる際もご本人が「居合の名人」ということで、ハマちゃんがみる悪夢のシーンで色々な型を提案をされたり、会話の途中で「why?」などセリフを英語交じりにしたりと、ご自身でいろいろな意見を出してくださって、悠然と楽しそうに演じておられました。

富山の老舗製薬会社廣貫堂での撮影

- 宴会のシーンは、イカでしょうか。
ロケに行く前から名物の「ホタルイカ」がテーマということは決まっていて、例によって演出部と美術部が総出で色々な案を出して衣装や小道具が用意されました。「ホタルイカ」は光りますので、衣装にキラキラが入っていて。でも曲は全然決まっていませんでした。

- 現場で作ったのですか。
そうなんです。現地に来てもらったギタリストが弾く即興のメロディーに合わせて、西田さんがイメージを膨らませて「フラメンコが良いね!」ということになりました。「ホタルイカ」+「フラメンコ」で、「ホタルイカメンコ」の誕生です!

- 音楽を流しながら撮影するのですか。
即興で出来上がった音楽を録音して、それに合わせて撮影しました。結果として夜中までかかりましたが、皆大爆笑でした。監督への売り込みでドラッグクイーンの御二方が出演しましたので、さらに派手なシーンになっています。富山湾の名産「ブリ」は釣りのシーンに登場、もう一つの名産「ホタルイカ」は宴会で登場した、ということです。

イメージは、フレディマーキュリー!

- ラストシーンの春スキーも印象的です。
撮影のスケジュールを組むにあたり、いつも核となる場所があります。今回はロケ地が富山全域だったので、尚更組み立ての要素が多かったですから。スキーのシーンを撮影した立山の天狗平は空撮がありますし、晴れていないと画になりません。核となる場所であることはハッキリしていたので、「このシーンの日程を決めよう」と考えると自然に候補日が浮かびました。いつもは色々検討した上で決めるのですが、その時は「この日」という1日が降りてきた感じでした。

- 当日はいかがでしたか。
天狗平は高度2,000㍍以上の高地なので、街が晴れていても上がってみたら曇っているということがよくあります。そもそも快晴は年に数日しかありません。当日も、頂上に向かう時は曇っていて、雨が少しパラついていました。

- 山のお天気は不安定だ、と言います。
青天の5月だったのですが、登ってみたら一面の美しい雪景色でした。下の方には、敷き詰められたような雲。「まさに絶景!」でした。

- 予測大当たりですね。
「この日しかない」とかけた1日が撮影にピッタリの素晴らしい日になって、とても嬉しかったことを今でも鮮やかに思い出します。「そんなことあるんだな!」と。

奇跡の1日

〈その14に続く〉

映画『釣りバカ日誌』シリーズ
商品 (DVD・DVD―BOX)
https://www.shochiku-home-enta.com/c/series-turibakanisshi

土曜だ!釣りバカ!
BSテレ東にて、毎週土曜放送中
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/cinema/

◆Webサイト https://www.cinemaclassics.jp/tsuribaka-movie/
◆Twitter https://twitter.com/CINEMACLASSICSS
◆Facebook https://www.facebook.com/Tsuribaka.shochiku