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連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【シリーズ完走の感想】」

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 松竹さんからこのお話をいただいたとき、正直、「22本も書けるかな…」と弱腰へっぴり腰だったんです。
 でも蓋を開けてみれば、「釣りバカ」は22本の色鉛筆のように、1本1本異なる色合い・味わいを持っていて、むしろ自分の筆力では伝え切れないことだらけ。嬉しい誤算でありました。

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 それが証拠に、初期シリーズのスーさんはつけ眉毛で初登場したかと思えば、続編では突如坊主頭に。さらに「3」ではワルメン風と、そのルックはブレブレで一貫性がありません。
 スーさん役の三國連太郎さんは毎回、「今年で終わり!」と言っていたそうで、「次のこと考えて髪伸ばしとくか」、なんて考えがハナからなかったのでしょう。
 「釣りバカ」の撮影前に出演した作品に引っ張られることも多々あったそうで、『利休』(89)で利休役をやった後は坊主頭×数珠姿で、「釣りというのは殺生ではない」などとアドリブをかましていたそうです(『バカ卒業』西田敏行/小学館)。おちゃめ。

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 そして「釣りバカ」といえばなんといっても「合体」でしょう。遠足のバスでシリーズを見た幼少時代、わけもわからずこのシーンに胸が高鳴ったことを覚えています。
「ファイナル」は合体シーンで撮了だったそうなので、シリーズ最後の〆が「合体」ですよ。らしくていいですよね。
 思えばエロスが溢れ出ていた初代みち子さん=石田えりさんとは“不合体”が多かったですが、エロスというより親しみやすさが上回る浅田美代子さん時代はむしろみち子さんからしかけていくことが多くて、ちょっと不思議に思っていたんです。
 そうしたら西田さんも同じだったようで、「浅田さんとは友達っぽいから合体しにくかった」みたいなことを語っておられました。うん、なんかわかります。

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 あといつも語れずにいたのが、美術のすばらしさであります。
 毎回微妙に異なるハマちゃん家ですが、常に浜崎家らしい生活臭がぷ〜んと漂ってきて、ほどよく雑然としたダイニングや、「鯉太郎が小さい時に貼って剥がせなくなったままなのかな」と思わせるふすまのお魚シール、はたまた時代を感じるゴマちゃん&イエティの人形(『少年アシベ』の登場人物)など、家族の歴史や時代が香る美術がいつも目を楽しませてくれました。浜崎家の門の上に置いてある、夫婦を模した魚の置物もいいですよね。欲しいなあ…。

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 思えば人生で全作をコンプリートした長寿シリーズものは「SATC」と「デス妻」と「釣りバカ」だけ。平成が終わる今年、平成を振り返り、総括できる「釣りバカ」を見て、新たな●●(新元号)を迎えようではありませんか。
 ぜひ22本あるいろんな色の「釣りバカ」から、お気に入りの1本を見つけてみてください。そしていつか、お互いのお気に入りを語りあえたら嬉しいです。完走までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


文 小泉なつみ

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釣りバカ日誌20 ファイナル

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「土曜だ!釣りバカ!」放送中!
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