小学校も出ずに働いていた苦労人の父・周吉は、子供たちにつらい想いをさせたくないと、夫婦で子供たちを溺愛。しかし、それゆえに木下監督は「人間が何かに対して注ぐ愛というものは、盲愛と呼べるくらいでなくては本当の愛とはいえないのではないか」とまで自伝に記すほど両親に感謝しており、特に才女でもあった母に対しては、“母恋い”と呼べるほど生涯にわたって想いを寄せ続け、また後に自身が作り続けていく映画作品にもそうした想いを反映させていった。