小津安二郎生誕120年記念
小津安二郎:モダン・ストーリーズ selected by ル・シネマ 開催決定!
今なお世界中から注目を集める小津安二郎監督。生誕120年を迎える本年は、世界三大映画祭への『長屋紳士録 4Kデジタル修復版』『父ありき 4Kデジタル修復版』の出品や、第36回東京国際映画祭での小津安二郎特集など、小津安二郎再顕彰の動きがますます広がっています。
この度、特集上映企画「小津安二郎:モダン・ストーリーズ selected by ル・シネマ」を2023年12月8日(金)から12月14日(木)まで、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて開催することが決定いたしました。
人生のある瞬間のさまざまな感情を、えも言われぬ姿で映し出してしまう小津映画。そのフィルモグラフィーは、一定のモチーフを反復しつつも、小津の名を聞いて誰もが連想する「家族ドラマ」だけでなく、広く多種多様なテーマに彩られています。今回の特集上映ではトーキー作品の中から「いま、観てほしい小津作品」をテーマに、第36回東京国際映画祭でプレミア上映された『父ありき』『長屋紳士録』『風の中の牝雞』や、寄る辺なき孤独が夜闇にゆれる異色の傑作『東京暮色』、母娘の関係性を繊細に描く『秋日和』など、生誕120年のいまだからこそ観たい作品をBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下がピックアップ。さらに英「サイト&サウンド・マガジン」2022年発表の「史上最高の映画」において、日本映画最上位の4位に選ばれた『東京物語』や、『晩春』『秋刀魚の味』などの欠かすことのできない名作も上映となります。
小津安二郎:モダン・ストーリーズ selected by ル・シネマ
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-24-12
渋谷東映プラザ 7F&9F(1F:チケットカウンター)
会期:12/8(金)~12/14(木)※タイムテーブルは後日発表
H P:https://www.bunkamura.co.jp/cinema_miyashita/
<特集上映開催コメント>
「これは私が今日、いま出会うべき映画だった」と思う映画がごくまれにあるとして、小津監督の作品を観ると、ほとんどいつもそう思ってしまいます。
小津映画を前にして目に飛び込んでくるのは、時代背景や物語、登場人物の感情、喜怒哀楽よりもまず、「この人の感情は、人生はいまとても揺れているらしい」という「揺れ」です。その揺れのあまりにも大きな動きを見つめるうちにこちらも共振し、やがて、ガラスが割れるのです。
私に共振を起こすその特定の周波数を、どういうわけか120年前に産まれた小津監督だけが知っている。「いま出会うべき映画だった」と共振してしまうのは、映された揺れが紛れもなく「現在」のものとしてあるから。その震撼する幸福を抱きながら、今日、いま、小津映画と出会いましょう。── Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 浅倉 奏
<上映作品一覧>
太平洋戦争下で唯一の小津作品で、笠智衆の初主演作。男手ひとつで育て、同じく教師となった息子との深い哀歓を描いた小津映画の一つの頂点。
【出演】笠 智衆 佐野周二 津田晴彦
第80回 ヴェネチア国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 アジアン・プレミア
©1942/2023松竹株式会社
小津監督の戦後復帰第一作。父とはぐれた子供と、世話をする長屋の住人たちの人情喜劇。とりわけ忘れ難い余韻をもたらすラストが印象的。
【出演】飯田蝶子 青木放屁 小澤榮太郎
第76回 カンヌ国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 アジアン・プレミア
©1947/2023松竹株式会社
やむを得ず身を売った妻と、戦地から帰ってきた夫。二人の苦しみと、それを乗り越える姿を緻密に描いた異色の作品。
【出演】佐野周二 田中絹代 村田知英子
第79回 ヴェネチア国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 ジャパン・プレミア
©1948/2022松竹株式会社
妻を亡くした父を気遣い結婚を躊躇う娘と、それを見守る善意の人々を通して、父と娘の愛の絆を映し出した名作。
【出演】笠 智衆 原 節子 月丘夢路
MOMA ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1949/2015松竹株式会社
娘の結婚話をめぐり、家族らの心情を多彩な人間関係と細部豊かなエピソードで綴った一篇。家族への愛おしい思いや希望が見事に折り重なった、珠玉の名作。
【出演】原 節子 笠 智衆 淡島千景
第66回 ベルリン国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1951/2016松竹株式会社
何気ない言動が教える各人の生活、思いがけない心情の吐露と発見、そして何事もなかったような人生の悲哀と深淵を見事に描いた、普遍的な家族の物語。
【出演】笠 智衆 東山千榮子 原 節子
第71回 カンヌ国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1953/2017松竹株式会社
一児を亡くし関係に亀裂が入ってしまった夫婦と、そんな彼を愛してしまう通勤仲間の女性を軸に、日本社会におけるサラリーマンや若者たちの心情を活写した名作。
【出演】淡島千景 池部 良 高橋貞二
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1956/2018松竹株式会社
心に傷を抱えた登場人物たちの底の見えない圧倒的な孤独感が織りなす、異色の家族ドラマ。
【出演】原 節子 有馬稲子 笠 智衆
第68回 ベルリン国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回東京国際映画祭 特集上映
©1957/2017松竹株式会社
自分に相談もせず結婚相手を決めた娘のふるまいに動揺する父親の姿を描く、小津監督初のカラー作品。
【出演】佐分利 信 田中絹代 有馬稲子
第70回 ヴェネチア国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1958/2013松竹株式会社
近所付き合いの小さな波風にふり回される大人と、テレビを買ってとねだる子供たち。東京郊外の新興住宅地を舞台に、戦後の市井の人々の生活を小津流に活写した傑作喜劇。
【出演】佐田啓二 久我美子 笠 智衆
第38回 香港国際映画祭 インターナショナル・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1959/2013松竹株式会社
亡夫の七回忌を終えた美しい未亡人と、婚期を迎えた娘の間に起きる小さな心の波風を繊細に描く名作。取り巻きの紳士たちのユーモアに、小津の余裕に満ちた練達の演出技法が垣間見える。
【出演】原 節子 司 葉子 岡田茉莉子
第64回 ベルリン国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1960/2013松竹株式会社
男手一つで育てた娘を嫁に出す父の気持ち、嫁に行く娘の心情を細やかに描き出す。主筋以外の点描も余裕に満ちて見事。老いと孤独という深刻なテーマを喜劇的に描いた、小津安二郎監督の遺作。
【出演】岩下志麻 笠 智衆 佐田啓二
第66回 カンヌ国際映画祭 ワールド・プレミア
第36回 東京国際映画祭 特集上映
©1962/2013松竹株式会社
小津安二郎公式WEBサイト:https://www.cinemaclassics.jp/ozu/