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連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【シリーズ20】」

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 ついに「20」、ファイナルとなるシリーズ22作目です(泣いてる)。ここまで一緒に並走してくださった稀有な御方、一緒に肩を組んで鈴木建設社歌を歌いたいので、松竹さんまでご連絡ください。

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 リストラや倒産、早期退職といった単語が飛び交う営業三課。暗い顔した舟木課長らを尻目に、ハマちゃんはいつもどおり釣り新聞を読み、うんこをしてガハハ笑い。この変わらなさにどれだけの人が救われてきたことでしょう(泣いてる)。
 西田敏行さんがインタビュー本『バカ卒業』(小学館)の中で、「ハマちゃんは寅さんと違って定住者である」と語っていましたが、たしかに寅さんはフーテンの流れ者だけど、ハマちゃんは妻子持ちのサラリーマンで、無軌道なように見えてその実、とても地に足の着いた規則正しい生活を送っているんですよね。浮気もしないし。不安に揺れた平成の世で、その変わらなさを求めてみんなが「釣りバカ」を見に行っていたのかなあと改めて感じました。

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 そしてスーさん。その素晴らしさは、“企業人としての生き方”にあったのではないでしょうか。家庭人としての幸せは味わえなかったけれども(2人の娘たちがハゲタカのように老いたスーさんにたかる様が辛い…)、創業者として、経営者として社員とその家族6000人を守ってきたのがスーさんでした。

「会社は社員のもの。利益は薄くとも働く人たちとその家族の生活を大切にする」

 そんな生き方を表したスピーチの言葉にジーンとなったのは言うまでもありません。

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 そしてレギュラー出演者たちがカーテンコールで登場するエンディング。スズケン社員たちが観客として壇上のキャストたちに拍手を贈る構図を見ていたら、“現代社会で働く”ということを22年間かけてずっと本シリーズが教えてくれていたのかなと思いました。また、このシーンでの登場が遺作となった佐々木課長こと谷啓さんの姿は涙なしに見られません。
 最後の舞台となる北海道の雄大すぎる景色も我々を包み込んでくれる大団円、ぜひ御覧ください!

文 小泉なつみ

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釣りバカ日誌20 ファイナル

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