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連載「女ひとり、「釣りバカ」完走してきます【花のお江戸の釣りバカ日誌編】」

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 98年の夏休みに放たれた「10」に続き同年の暮れに公開されたのが、外伝的立ち位置の『花のお江戸の釣りバカ日誌』。現代日本社会の苦しさをあぶり出した激辛な「10」から一転、のほほんとした“バカ殿”感がなんとも心地良い一作であります。

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 まず破顔したのが、オープニングのダチョウ倶楽部・上島竜兵の登場です。高校時代から西田敏行のそっくりさんと言われ続けてきた彼が、伝助と間違われる町人役で出演したことにひとり胸が熱くなりました。
 さらに只者ではない浪人役のミッキー・カーチスや、伝助が乗った途端、駕篭の底が抜けるベタベタなギャグを披露する駕篭屋の大木こだま・ひびきなど、つるべ撃ちで登場する滋味深い役者たちがたまりません。
 そしてラスボスとして現れるのが、市川團十郎です。庄内藩のお殿様ながら、伝助に釣りを伝授するために突如裃姿のまま池に飛び込み、キラキラと潤んだ瞳で釣り糸を持って微笑む姿はある種の凄みすら感じました。

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 この外伝、実はハマちゃんとスーさんのご先祖様のお話だということがラストで明かされます。江戸時代からほとんどふたりは変わっていないのですが、ハマちゃんのラブストーリーが見られるのはシリーズでもここだけ。そんな伝助の恋のお相手・小浪(黒木瞳)との仲を繋ぐのは、やっぱり「釣り」でした。
 以前、著名なコラムニストの方が「合コンで相手を見つけようとするのは漁場が間違っている。ベストは、趣味の場にいる人」と語っていたのですが、伝助はまさにそのパターンで、見事に恋を成就させていました。

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「恋も仕事も、自分の“好き”を基点にすればいいんじゃない?」

 いつの時代のハマちゃんも、そんなことを教えてくれるようでした。外伝、ぜひビールと一緒に気軽にどうぞ!

文 小泉なつみ

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