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小津安二郎生誕120年記念
『父ありき 4Kデジタル修復版』 第80回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門にてワールドプレミア上映決定!

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 この度、小津安二郎監督作品『父ありき 4Kデジタル修復版』(1942年製作、英題:There Was a Father 4K Digitally Restored Version)が、第80回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門(ヴェニス・クラシックス)に選出され、現地でワールドプレミア上映を行うことが決定しました。

 ヴェニス・クラシックスは、2012年に設立されたヴェネチア国際映画祭の一部門で、過去1年間に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出されます。小津作品では『彼岸花』が2013年に、『お茶漬の味』が2017年に、『風の中の牝雞』が2022年に選出されて以来の通算4回目の選出となります。

『父ありき 4Kデジタル修復版』(1942年、英題:There Was a Father 4K Digitally Restored Version

監督:小津安二郎
脚本:池田忠雄、柳井隆雄、小津安二郎
出演:笠智衆、佐野周二、津田晴彦、佐分利信、坂本武、水戸光子、大塚正義、日守新一、西村青児、谷麗光、河原侃二
1942年4月1日公開/モノクロ/スタンダード/92分

戦時下に製作された本作は、同じ教師の道を選んだ父と子の親子関係を繊細かつ濃厚に描いた、哀感に溢れた作品。笠智衆の初主演作品であり、佐野周二など後の小津作品の常連となるスターたちを数多く起用。後の小津作品にも共通する、「人と人との繋がり」や「家族」といった、普遍的なテーマを題材としている。

<あらすじ>
金沢で中学教師をしている堀川周平(笠智衆)は妻に先立たれ、息子の良平(佐野周二、少年時代:津田晴彦)と2人で暮らしている。そんな中、周平は修学旅行先で教え子を溺死させてしまい、責任を感じて退職。良平を寄宿舎に残し、東京の工場で働きだした。時が過ぎ、良平は仙台の帝大を卒業して、秋田の学校で教師となった。彼は久々に父親と再会するのだが…。

<4Kデジタル修復について>

戦時下に製作され、当時の社会状況や戦争に関する言及がある小津安二郎監督作品『父ありき』の公開当時のオリジナル版は、本編尺が94分、フィルムの長さにして2588mと記録に残されております。戦後占領期の1945年再公開時にGHQの検閲によりオリジナル版から多くのシーンがカットされることとなり、松竹に残された原版素材(16㎜マスターポジ)は、本編尺が87分に短縮されたものでした。

 国立映画アーカイブと松竹の共同事業にて修復を行いました。 4Kデジタル修復(フル4K(4K解像度(4096× 3112)スキャン、4KDCP)では、松竹が所有する16mmマスターポジと、ロシアで新たに発見され、国立映画アーカイブが保管している35mmプリント(72分)の両方を4Kスキャン。双方の画と音を比較し、欠落している箇所を組み合わせ、1942年公開当時のオリジナル版に限りなく近い状態への修復を行いました。4Kデジタル修復しました本作の上映尺は92分です。

画像修復は、近森眞史キャメラマンに監修いただき、イマジカにて作業。音声修復は96kHz24bitでデジタイズし、電源、キャメラ、光学編集、ネガのキズや劣化等、様々な要因によるノイズ、レベルオーバーによる歪みを、原因に立ち返って類推し、清水和法さん監修のもと松竹映像センターにて修復。小津安二郎監督の製作意図を尊重して修復する事を主眼に作業しております。

<第80回ヴェネチア国際映画祭国際映画祭クラシック映画部門>
会期:2023年8月30日(水)~9月9日(土) ※本作の上映日時は調整中です。

ヴェネチア国際映画祭公式WEBサイトhttps://www.labiennale.org/it/cinema/2023


小津安二郎公式WEBサイトhttps://www.cinemaclassics.jp/ozu/