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【追悼】森英恵さん スクリーンを彩った、その衣装

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世界的なファッションデザイナー、森英恵さん。
オートクチュールからプレタポルテまで、彼女の手掛ける「エレガンス」をテーマにしたファッションは、日本だけでなく世界中の女性たちを虜にしてきました。

戦後の働く女性のパイオニアとしての彼女の功績は、ファッション界だけにとどまりません。1950年代の日本映画隆盛期には数多くの映画衣装を手掛け、ファッションを通して映画に色褪せない魅力を与えました。

シネマクラシックスでは森英恵さんへ追悼の意を表し、彼女が衣装を手掛けた多数の名作の中から3作をご紹介いたします。
———————————————————————————————————————————————————————-『秋日和』

原作:里見弴
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧/小津安二郎
出演:原節子/司葉子/岡田茉莉子/佐田啓二/佐分利信/沢村貞子/桑野みゆき/島津雅彦/笠智衆/中村伸郎
製作年:1960年

麻布の寺で、三輪の七回忌の法要が行われた。三輪の学生時代の友人、間宮、田口、平山の三人が久しぶりに集まる。彼らは三輪の娘アヤ子に縁談を勧めるが、笑ってごまかされてしまう。実はアヤ子は、結婚すると母秋子が一人になるのを気遣っていたのだった。間宮と田口は、秋子が再婚すれば、アヤ子も結婚を決心するだろうと秋子と平山の再婚を画策するのだが、話はこじれていく。

結婚式のシーンで、アヤ子の友人の百合子を演じた岡田茉莉子さんが着用している水色のドレスは、女性らしいシルエットに淡い色彩が合わさり、とても美しいデザインです。


『青春残酷物語』

監督:大島渚
脚本:大島渚
出演:桑野みゆき/川津祐介/久我美子/渡辺文雄/田中晋二/小林トシ子
製作年:1960年

中年の男にホテルに連れ込まれそうになった真琴は、大学生の清に助けられた。その後ふたりはお互いをいたぶるかのように遊び、身体を重ねていく。清は人妻と不倫していたが、真琴のことが忘れられず、やがてふたりは同棲をはじめ、美人局で金を稼ぐようになる。しかし、まもなくして真琴が妊娠していることが発覚。子どもを堕ろせという清に反発し、真琴はアパートを出ていくが……。

桑野みゆきさんが着用している水玉のワンピースは、作品のテーマである「青春」らしい若々しさを感じさせます。


『わるいやつら』

原作:松本清張
監督:野村芳太郎
脚本:井手雅人
松坂慶子/片岡孝夫/藤田まこと/緒形拳/梶芽衣子/宮下順子/藤真利子/神崎愛
製作年:1980年

世間知らずのプレイボーイである総合病院の院長・戸谷は、資産のある女に近づいては金をまきあげ、病院の赤字を埋めていた。妻との離婚交渉を進め、美貌のデザイナー・隆子との結婚を望んでいた。 しかし、彼女を手に入れるために数々の悪事を犯していく。そして5人の悪女たちの暗躍により、自らも落とし穴へはまっていく。
現代の様々な悪女の実態を鋭く描いたミステリードラマ。

ラストシーンのファッションショーでは衣装の提供に加え、森英恵さんご本人が出演されています。
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森英恵さんは映画衣装を通して、日本映画界に多大なる影響を与えました。
華やかな衣装で彩られた名作たちの中に、森英恵さんの功績は輝き続けます。

『秋日和』
『青春残酷物語』
『わるいやつら』