男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎頑張れ!
スタッフ

第20作 (昭和52年12月 公開)
男はつらいよ 寅次郎頑張れ!

とらやに下宿中のワット君こと良介(中村雅俊)が、初対面の寅さんを“押し売り”と間違えたことから大騒動となる。結局、寅さんと意気投合した良介は、食堂「ふるさと亭」の幸子(大竹しのぶ)との恋愛を、寅さんの指南で成就させようとするが、振られたと勘違い。良介はガス自殺を計ろうとして、とらやの二階は大爆発! 責任を感じ、長崎県平戸に帰った良介を、励まそうと寅さんがやってくるが、良介の姉・藤子(藤村志保)に一目惚れをして、そのまま居着いてしまう…
 テレビドラマで人気絶頂の中村雅俊と、若手実力派ナンバーワンの大竹しのぶをゲストに迎えた、シリーズ二十本記念作品。寅さんが“恋の指南”を買って出るパターンは、第14作『寅次郎子守唄』以来だが、本作を機に、寅さんの「恋のコーチ役」は定着していく。寅さんが、良介の美しき姉・藤子にぞっこん惚れてしまう後半、藤子と二人きりになってしまう状況を“寅さんのアリア”で語るシーンは、シリーズの白眉。平戸の船長を演じたベテラン・コメディアン、石井均の「惚れとるばい」の名台詞とともに、華やかな笑いに包まれた一編。

マドンナ
ゲスト
ロケ地
島田藤子

島田藤子

寅さんはね、
あんたの考えてるより
もっともっと心のきれいか人よ。

マドンナ

島田藤子

島田藤子(藤村志保)

島田良介(中村雅俊)の姉。長崎県平戸でお土産物屋(とレンタサイクル)を営んでいる。かつて結婚したこともあるが、すぐに離婚。今は一人で店を切り盛りしているが、ファンも多く、教会の神父さん(桜井センリ)も「惚れとる」ようだ。

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島田藤子 第20作 藤村志保

1961年大映演技研究所に入り、翌年『破戒』(62年)に出演し、各種新人賞に輝く。市川雷蔵の「眠狂四郎」シリーズや、勝新太郎の「座頭市」シリーズなどのヒロインとして時代劇を中心に活躍。1965年の大河ドラマ「太閤記」でねねを演じてお茶の間に親しまれ、映画、テレビ、舞台などで活躍。

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ゲスト

島田良介

島田良介(中村雅俊)

惚れとるばい

さくらのアパートの近くに住んでいて、博たちと仲良くなり、とらやの二階で下宿することに。仕事は電気工事の作業員で、近所の食堂・ふるさと亭の幸子(大竹しのぶ)に恋をしている。失恋したと勘違いして巻き起こした「とらや爆発騒動」は、第40作『寅次郎サラダ記念日』で、寅さんによって語り草となった。

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島田良介 第20作 中村雅俊

慶応義塾大学卒業後、文学座に入団、NTV「われら青春!」(73年)、NTV「俺たちの旅」(75〜76年)でブレイク。青春スターとして、松竹映画『ふれあい』(74年)、『俺たちの時』(76年)、『坊ちゃん』(77年)などに主演。『寅次郎頑張れ!』のワット君のイメージは、これらの青春もので培われたイメージの延長にある。

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福村幸子

福村幸子(大竹しのぶ)

こ、こいたな時になしてしたなこと言うの、バカ

柴又にある食堂・ふるさと亭の看板娘。秋田県出身で伯父さん(築地文夫)が経営する店を手伝っている。毎日食事に来る良介の飾らなさに魅力を感じているが・・・

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福村幸子 第20作 大竹しのぶ

1973年、テレビドラマの一般公募に合格し芸能界入り。その後、浦山桐郎監督の『青春の門・筑豊篇』(74年)、NHK朝の連続テレビ小説「水色の時」(75年)のヒロインに次々と抜擢。確かな演技力で注目を集め、名実共に日本を代表する演技女優の道を歩むこととなる。

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男はつらいよ 寅次郎頑張れ!

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

おいこら、ここが大事なんだよ。
差出したおまえの手に娘の頬が触れる
娘が振り返る。
いいか
ここで目をそらしちゃいけないぞ。
ジーッと娘の目を見る
おまえが好きなんだよという思いを込めて
娘の目を見る。そこでおまえの気持ちが通じる。
そこだよ、そこで最後のセリフ
〝アイ ラブ ユー〟
できるか、青年

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    ねえ、たまにはウチにいない?みんなで集まってお雑煮食べて、ね
  • 車竜造
    車竜造
    押し売りに間違われるような甥っ子を持ったこっちの気持ちだって少しは察してくれよ
  • 車つね
    車つね
    なんたって、アベックは喫茶店だもんねぇ
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    寅さん、おかしかったねえ、税務署行っておまえが押し売りに間違われた話したらさ、受けちゃってさー、みんな大笑いよ、おかげで税金負けてもらったよ
  • 諏訪博
    諏訪博
    現役の時はダメでも、コーチになったらよくなったってこともありますからねぇ
夢

小鳥がさえずり、葡萄がたわわに実るゴージャスな部屋で、寅さんが眼を覚ます。長年の苦労が実って、車一家も社長も金持ちになっていた。戸惑う寅さん…

騒動

騒動

押し売り騒動

「押し売りお断り」の札をとらやの軒先に貼る下宿中の良介。帰ってきた寅さんのトランクを見て「歯ブラシとかね、ゴムひもとか、そんなものはウチ間に合っていますからね」と追い出そうとする。

あにいもうと

あに
いもうと

寅さんは、1969年に柴又に戻ってきて以来、一度も正月をさくらと過ごしたことがない。柴又駅での別れ。さくらは寅さんに「ねぇ、たまにはウチにいない? みんなで集まってお雑煮食べて・・・」と、いつも思っていることを伝える。しかし寅さんは「正月はこっちの稼ぎ時だい」と固辞する。

人々

人々

  • 島田良介/中村雅俊(とらやに下宿している青年)
  • ふるさと亭の幸子/大竹しのぶ
  • ふるさと亭の主人/築地文夫(幸子の叔父)
  • 平戸の連絡船の船長/石井均
  • 教会の神父/桜井センリ
  • 坂東鶴八郎一座、座長/吉田義夫
  • 一座の花形・大空小百合/岡本茉莉(座長の娘)

寅さんの
啖呵売

啖呵売

さぁ、どう、手に取って見てちょうだい、これだけの手袋、どこにあるのか、さあ、見てよ、気に入ったのあったら、どんどんまけちゃう、はい、浅野内匠頭じゃないけど、今日は、腹切ったつもりで、負けちゃおう。もののはじまりが一ならば、国のはじまりが大和の国、島の始まりは淡路島・・・泥棒の始まりが石川五右衛門なら、ねえ、助平のはじまりは、このおじさんときたよ(長崎県平戸島・浜尾神社・ゴム手袋)

売ネタ

  • 易断(東京都葛飾区・金町北口路地)
  • ゴム手袋(長崎県平戸島・浜尾神社)

  • 寅さん・良介「憧れのハワイ航路」
  • 満男・良介「デンセンマン音頭」
  • 築地文夫「シューベルト“冬の旅”より“菩提樹”」
  • <挿入歌> 岡晴夫「憧れのハワイ航路」

ロケーション

  • とある田舎道/地蔵の横の積みわらで寅さんが寝ていると、帽子とカバンを泥棒に取られてしまう
  • 長崎県 平戸市 太助町 浜尾神社/寅さんがバイをする
  • 長崎県 平戸市/連絡船に乗って、寅さんが良介に会いにやってくる
  • 長崎県 平戸市 鏡川町/松浦資料博物館前にある、藤子の土産店
  • 長崎県 平戸市 岩の上町 幸橋(オランダ橋)近く/自転車で走る買付帰りの寅さん
  • 長崎県 平戸市 鏡川町 平戸カトリック教会 寅さんと藤子、ミサからの帰り道
  • 長崎県 平戸市/良介が幸子を連れて帰ってくる
  • とある田舎の農家 片隅を借りて昼食をとった寅さんが、田舎道を歩いていると、坂東鶴八郎一座にバッタリ遭遇
平戸

長崎県 平戸

日本地図
長崎県 平戸

平戸 基本情報

長崎県北部の北松浦半島の北西端の地域、および同半島と平戸瀬戸を挟んで西向かいにある平戸島、そして平戸島の北西にある生月島(いきつきしま)、平戸島の真北にある度島(たくしま)、度島のさらに真北にある的山大島(あづちおおしま)を主な市域とする。位置は佐世保市から北西約25km、長崎市から北北西約80kmの距離である。平戸大橋で九州本土と平戸島がつながり、生月大橋で平戸島と生月島がつながっている。
また、日本本土から乗用車のみ(他の交通機関を使わずに)で行き来出来る自治体として最西端でもある。

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第20作
長崎県 平戸

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あの頃

食べ物

パフェ

寅さんが良介に幸子とのデートを指南する場面。レストランで食事をした後に、デザートをとってやれ、今の若い子はよく食うからね。「アイスクリームをねじりウンコみたいに山盛りにして・・・」とパフェのことを言う。パフェとはフランス語でparafait。背が高いグラスにアイスクリームや、フルーツなどで飾り立てたデザートで、英語ではサンデー=Sundaeという。1881年にアメリカ、ウインスコンシン州のエド・バーナーが発案。日本では戦後、喫茶店のメニューに加わり、1970年代に定番デザートとなった。

モノ

パチンコの景品

良介は大のパチンコ好き。シャツなどの生活必需品は景品で賄っているようで、さくらを驚かせる。戦後、経済成長とともに、パチンコは庶民の娯楽となり、さまざまな景品が登場。お菓子やタバコなどの趣向品に加え、レコード、シャツ、食材など様々ものが、スーパーマーケットさながらに並んだのが、1960年代から70年代にかけてのこと。

ファッション

ジーパン

良介の基本スタイルはジーパン。デニム生地のズボン、パンツであるジーンズを、日本ではGパンと長らく呼んでいた。JEANSなのにGとは、G.I.が吐いていたからという説がある。その起源は1870年、ゴールドラッシュのアメリカで、鉱夫たちのために強度を高めるために、銅リベットでポケットを補強したワークパンツが発売された。それがジーンズの始まりで、日本では戦後、アメリカ軍が放出した古着のなかにあったジーンズが、ハリウッド映画のジェームズ・ディーンなどのファッションの影響で、若者たちの流行となる。そして1970年代には若者の定番ファッションとして定着した。

主な出来事

11月25日
ハイジャック防止法が成立。
11月28日
福田改造内閣発足。
12月4日
中央アフリカ共和国のジャンベデル・ボカサ終身大統領が戴冠式を行い中央アフリカ帝国皇帝ボカサ1世として即位。
12月25日
イギリスの喜劇王、チャールズ・チャップリン死去(享年88)。

データ

封切り日
昭和52年12月24日
観客動員数
1,881,000人
入場料
1,300円
上映時間
95分
受賞歴
併映作品
『ワニと鸚鵡とオットセイ』
監督:山根成之 出演:郷ひろみ、樹木希林、秋吉久美子、大滝秀治、山田吾一
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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