東京都出身。1958年、NHK連続ドラマ「バス通り裏」でデビュー。1960年、松竹に入社。木下惠介監督の映画『笛吹川』で銀幕デビュー。小津安二郎監督作品『秋日和』(60)『秋刀魚の味』(62)をはじめ、『切腹』(62)『古都』(63)などに出演。1967年、篠田正浩監督と結婚。2人で独立プロを立ち上げ、『心中天網島』(69) 『卑弥呼』(74)『はなれ瞽女おりん』(77)など数々の名作が生まれた。ほかにも映画『極道の妻たち』(86)シリーズ、大河ドラマ「草燃える」(79)「独眼竜政宗」(87)「葵 徳川三代」(00)など代表作多数。
映画『暖流』(78)撮影風景 左から倍賞千恵子、野村芳太郎、岩下志麻
13作品に出演。山本周五郎原作『五瓣の椿』(64)は、松竹の城戸四郎社長(当時)が「岩下志麻を大スターにする」と野村芳太郎監督に命じて製作された。キャスト、スタッフが全精力を傾けて製作した結果、大作にふさわしい優れた作品となり、岩下は映画スターとしての地位を確立。野村にとっても、60年代の代表作の1本となった。野村作品において、岩下は、コメディ、女の一代記、鬼気迫るサスペンスと様々なジャンルの映画に出演。『影の車』(70)『鬼畜』(78)『疑惑』(82)『迷走地図』(83)といった作品でも、さまざまな女性像を演じ、作品の大きな柱となった。