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連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
【新文芸坐の巻/後編】

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閉館後は、赤穂浪士のように身を潜めていた!?

東武百貨店があるのは西口、西武デパートがあるのは東口。そんなちょっぴり困惑する街・池袋にある「新文芸坐」さんにお邪魔しています!

 

もともと「文芸坐」だったこの劇場は、97年に閉館。3年間のお休みを経て00年に「新文芸坐」としてリニューアルオープンを果たしました。支配人の矢田庸一郎さんは文芸坐時代からのスタッフだったため、閉館に伴い一度会社を去ることになったそうで……。

 

「再オープンに備えた上での退社でしたが、周囲にそれを明かすことはできず、他のスタッフたちもまるで赤穂浪士のような感じで、皆ひっそりと再建の時を待っている状態でした(笑)。そして再び00年に数人の元メンバーが再集結し、新文芸坐をスタートさせることができたんです」(矢田庸一郎支配人/以降「」内同氏)

券売機の横にある受付。ここで購入したチケットを見せて入場します。

券売機の横にある受付。ここで購入したチケットを見せて入場します。

1300円で2本が当たり前。席もぶっ続けでいられる!

そんな新文芸坐の大きな特徴が、「2本立て興行」。

シネコンなどではチケット1枚に対して観られる映画は1本ですが、新文芸坐では1枚の鑑賞券(一般1300円)で2本の映画が観られる「2本立て」なんです。これは嬉しい…!

 

「でも昔はどの名画座もこのスタイルで、2本立ては全然珍しいものじゃなかったんですよ。あと、今では指定席と上映回ごとの席入れ替えが当たり前になっていますが、うちはいまだに全席自由席※かつ入れ替え制じゃないので、同じ席で2本立てを続けて観られます。また、はじまって30分までは入場も可能ですよ」

※オールナイト・特別興行を除く

 

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2本立ての新文芸坐では、長時間滞在を心地よく過ごせるような工夫がいっぱい。ドリンクバー(写真・上)やスクリーン近くに設置された喫煙所(写真・下)も、ありそうでないから嬉しい。

2本立ての新文芸坐では、長時間滞在を心地よく過ごせるような工夫がいっぱい。ドリンクバー(写真・上)やスクリーン近くに設置された喫煙所(写真・下)も、ありそうでないから嬉しい。

確かに少し前まで、上映前に血眼で席を取り合うのが醍醐味でした(遠い目)。しかし2本ぶっ続けで同じ席で過ごせるなんて、もはや第二の家のようです。

そんな新文芸坐さんが放つ今後のイチオシ特集をお聞きすると、ワクワクするようなラインナップがお聞きできました!

「『ワーナー・ブラザース シネマフェスティバル』は本当にオススメ。古い洋画は権利の問題で上映するのがかなり大変なんですが、今回はワーナー・ブラザーズの方の熱意もあり、素晴らしいラインナップが揃いました。特に、『ダイヤルMを廻せ!』『暗くなるまで待って』『理由なき反抗』あたりは劇場でなかなか観られない作品なので、貴重な機会になるかと思います。

今はいろんな形態で映画を観られますが、私もワーナーの方も、“映画館で映画をかける”ことが大好きなんで、頑張りました(笑)」

「ワーナー・ブラザース シネマフェスティバル」は4月29日から5月8日まで開催。「タワーリング・インフェルノ」や「ワイルドバンチ」など、大画面で観たい名作がズラリと登場します!

「ワーナー・ブラザース シネマフェスティバル」は4月29日から5月8日まで開催。「タワーリング・インフェルノ」や「ワイルドバンチ」など、大画面で観たい名作がズラリと登場します!

そして最後にずっと気になっていたんですけど、新文芸坐さんのHPにもいるこのキャラ、一体なんですか。

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「僕にもわかりません。何なのか謎です」

謎のままの方がいいってこと、ありますもんね。ということで、新文芸坐帰りにぴったりのオススメスポットも矢田さんに教えてもらいましたよ。

 


番外編】新文芸坐・矢田支配人のオススメスポット

サグーン 池袋店

 

新文芸坐を背にして右斜め前、歩いて15秒の場所にあるネパール料理店「サグーン」さんにやってきました。

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実は新文芸坐でもカレーパン(写真・下)やチャーハンなど、「サグーン」の料理を一部販売しているほど仲良しな関係なんだとか!

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「さっきも新文芸坐の人がお昼に来てたよ」

こう語るのは、ネパール人の店長グルさん。では早速、グルさんオススメの「サグチキンカレー」をいただきます!

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ランチセットにはナンorライス、ドリンクとサラダ付き。さらに嬉しいのが、カレーの辛さを選べること。カレーが美味しいのはもちろんなんですが、地味に感動したのがドリンクで選んだチャイ。はじめから甘みがついているお店が多い中、サグーンは砂糖が別添え。ゆえにチャイそのものの味が楽しめて嬉しかったです。

あと、一見するとカレーの量が少ないように見えますが、旨みが非常に濃厚なので、ナンorライスの残量をチェックしながら食べ進めないとバランスを誤るので注意してください。

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店内にはお店宛に届いた御礼の手紙も貼ってあって、その愛されっぷりを感じました。新文芸坐の中で味わうも良し、お店の中で味わうも良しじゃないでしょうか!

 

■サグーン 池袋店http://sagun.jp/71808/

東京都豊島区東池袋1-42-18

03-5950-6273

 

(取材・文/小泉なつみ)


新文芸坐<前編>はこちら