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小津安二郎生誕120年 連載コラム「わたしのOZU」第2回
「何本目かに観たい小津作品」―『浮草』 デザイナー・高橋盾

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小津安二郎生誕120年を記念した連載コラム「わたしのOZU」。
各界でご活躍されている著名人の方々にお好きな小津作品を1本選んでいただき、お好みのテーマを切り口とした作品紹介コメントをいただく企画です。

第二回は、UNDERCOVERのデザイナー・高橋盾さんの作品紹介です。

デザイナー 高橋盾


「何本目かに観たい小津作品」―『浮草』

 20代前半の頃、小津安二郎監督の東京物語を初めて観ました。まだ若かったせいもあり感情移入できぬまま40代を迎えました。ふとしたきっかけで監督の作品を再び観始めたところその淡々とした世界観にどっぷり浸かってしまいました。結婚し子供を育てていきながら見えてきた親の目線を持ち得たからこそその物語に感情移入が出来たのだと思います。   
     
 私の日常に近い何処にでもあるような家族の様子を綴った作品群を一通り観終わったタイミングで出会った作品「浮草」。それは今まで観てきた小津作品とは一味違った躍動感あるエンターテイメントな作品でした。鮮烈なカラー映像と起伏のあるストーリーに一瞬にして引き込まれ、あっという間に観終わってしまった記憶があります。

 今迄観てきた何処にでもある日常とはかけ離れた旅一座の世界。その中に垣間見れる彼らの日常はとても新鮮で生命力に満ち溢れ、レールのない暗中模索な生活風景も本当に美しいものに見えてきます。観ているうちに私自身のファッションというクリエイションに対する暗中模索な生活に似たような不思議な感覚を覚えつつ、主人公嵐駒十郎の破天荒な生き様に憧れを感じたり、息子清の純粋な心になんとも言えない切ない感情を抱いたり、、、。終始旅一座の人々に感情を振り回されつつも観終わった後の清々しい気持ちは今でも忘れられません。ここまで喜怒哀楽を刺激される小津映画は他に無いように思います。そういった意味では小津監督の得意とする平凡な日常を切り取った作品を何本か観た後に観ていただきたい異色の作品だと思います。

高橋 盾


『浮草』
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧 小津安二郎
出演:中村鴈治郎 京マチ子 若尾文子 川口浩 杉村春子 野添ひとみ 笠智衆
製作:1959年
作品詳細:https://www.cinemaclassics.jp/ozu/movie/2839/
配信:https://lnk.to/Ukikusa
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全国順次上映中!
『浮草』の上映もございます。ぜひご来場ください。


UNDERCOVER

高橋盾さんがデザイナーを務めるUNDERCOVER。23SSコレクションでは、世界に誇る映画監督、小津安二郎のポートレートをあしらったTシャツやスウェットシャツをラインナップ。グラフィックの下には“TOKYO STORY”の文字がプリントされている。

T-shirt:17,600円(税込)                 Sweat:30,800円(税込)

UNDERCOVER(アンダーカバー)公式サイトhttps://undercoverism.com/


小津安二郎公式WEBサイトhttps://www.cinemaclassics.jp/ozu/