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【深谷シネマ開館20周年記念】山田洋次監督、鈴木映画・鈴木文夫会長トークレポート

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深谷シネマ開館20周年を記念して現在、『キネマの神様』『虹をつかむ男』が上映中。
昨日の『虹をつかむ男』上映後には、両作品を監督した山田洋次監督と、上映会などの映写業務を行っている鈴木映画の鈴木文夫会長(『虹をつかむ男』映写指導を担当)によるトークが行われました。

当日は、チケット完売ということで、残念ながら参加できなかったという方のために、今回お二人の貴重なトークを一部ご紹介いたします。

・深谷シネマ開館20周年について
20周年を迎えた深谷シネマについてお二人はそれぞれ
山田監督
「久しぶりにここに来ました。とても良い映画館ですね。他には絶対ない、不思議なのんびりした空間でしみじみしています。」
鈴木会長
「もう20年も経つんですね。ご縁があって劇場オープンの時、お世話していました。良い映画館ができたなと思います。支配人の一生懸命な姿がこの劇場に宿っています。」
と思い出を振り返り、トークが始まりました。

・お二人の出会い
山田監督と鈴木会長が初めて組んでお仕事をしたのは『虹をつかむ男』撮影時だったそうです。
鈴木会長が
「最初2日くらいというお話だったのですが、2ヶ月くらいかかりました。山田監督と仕事するのは夢だったのでありがたい機会でした。」と語ると、
山田監督は
「どんなに良い映画を作っても映写がちゃんとしていなければダメなんだということを僕は鈴木さんに教わったんです。」と当時を振り返りました。

・映画を作ること/映写すること
「映画が誕生したのは120年くらい前。1895年12月28日にパリのグラン・カフェでリュミエール兄弟が上映した日です。1フランの入場料を取った日が映画誕生の日と言われている。それはとても意味があります。つまり映画がビジネスとして成り立った日ということ。映画を撮るにはカメラが必要、そしてレンズが必要で、機械を必要とする技術ですから、映画を作ることは機械を操作することとイコールなんです。技術者であると同時に芸術家。
同じことが映写にも言えます。良い状況で上映することに心血を注いでいる。僕には音のことは特にわからない。小劇場と、武道館のような広い会場でかける時では、音が大きな問題になる。広い場所で全員に満足してもらうためにはスピーカーをたくさん入れる。例えばフォーラムなんかでは100個入れたりする。そういうことを鈴木さんに会って初めて知りました。」と語る山田監督。

これを受けた鈴木会長は広い会場で映写する際の準備について、
「ホールを借りるのに予算がかかりますから、時間がかなりないことがほとんどです。2時間くらいで25メートルのスクリーンを吊って、スピーカーもセットする。本当は1日くらいほしいところですが。ホールにスクリーンがあっても映画に合ったものではないこともあります。座席から2メートル以上離れてしまうとダメなんです。スクリーンも小さいものが多いので、結局持ってきて貼らないとダメなことが多いです。」と説明。
山田監督は
「僕の映画をあちこちで上映するときは、鈴木さんにお願いすれば間違いないんです。」と信頼を明らかにしました。

・『キネマの神様』に込められた想い
山田監督は現在深谷シネマで上映中の『キネマの神様』に込めた想いを聞かれると、
「僕が大学を出て助監督になった60年代は日本映画が良い時代だった。50年代後半くらいから日本映画は元気で、良い作品がたくさん作られた。「羅生門」をはじめ黒澤作品や小津作品など、世界で一番元気なのは東京だと言われていた。観客はたくさん入って撮影所も活気があった、スタッフも全員社員で残業代もついた時代です。それが僕には懐かしい。それが70年代以降はTVに押されて映画が追いやられるのを胸を痛めながら必死だった。今の韓国のドラマを見るとあの頃を思い出します。自信がたっぷりあって、演出、脚本、演技を勉強していて質が高い。韓国の人たちはあの頃の日本映画から学んでいる。悲しいけど、そういう元気のあった時代への想いを込めたのが『キネマの神様』です。」と語りました。

・今後の日本映画への願い
「深谷にとってこの映画館が大事な存在になっていき、新しい活力としてとても大切な役割になると思います。これが行政に一日も早く届いて、国としてより文化を大事にしてほしいと思います。韓国は政府の予算をエンターテインメントに注いで映画を撮っている。その成果が今の韓国の映画、エンターテインメントだと思うので、そうなってほしいです。」
という山田監督の願いの言葉と共にトークショーは閉幕しました。

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