男はつらいよ

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男はつらいよ 寅次郎夢枕
スタッフ

第10作 (昭和47年12月 公開)
男はつらいよ 寅次郎夢枕

旅先で弁当を使わせてもらった旧家の奥様(田中絹代)から、テキ屋仲間の哀れな末路を聞かされた寅さんは、柴又へ帰ってくる。ところが寅さんの部屋は、御前様の親戚の大学助教授・岡倉金之助(米倉斉加年)が下宿中。面白くない寅さんは、また旅に出ようとしたが、門前で美容院を始めた幼なじみの志村千代(八千草薫)と再会し、思いとどまることに…
 寅さんの幼なじみに、宝塚出身のベテラン女優・八千草薫。寅さんがマドンナに愛の告白をされてしまうという、意外や意外の物語。離婚して、子供と離ればなれとなった千代の寂しさを、紛らわそうとする寅さんの奮闘努力。恋のライバルとなるインテリに米倉斉加年。日本映画を代表する大女優・田中絹代と渥美清のしんみりとしたやり取りは、旅人の孤独を見事に表現。

志村千代

志村千代

私ね、
寅ちゃんと一緒にいると、
なんだか気持ちが
ホッとするの。
寅ちゃんと話していると、
ああ私は
生きてるんだなァって、
そんな楽しい
気持ちになるの

マドンナ

志村千代

志村千代(八千草薫)

寅さんとさくらの幼なじみ。子供の頃、寅さんは二人は「デカらっきょに、チビらっきょ」とからかっていた。結婚に失敗し、柴又で美容院を開く。何かにつけ気にかけてくれる寅さんに、家庭的な幸福を夢見る。

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志村千代 第10作 八千草薫

宝塚歌劇団で娘役として活躍、東宝映画でデビューを果し、1950年代から銀幕で数多くの映画に出演。稲垣浩監督の『宮本武蔵』(54年)や、イタリアとの合作『蝶々夫人』(55年)、そして豊田四郎監督の『雪国』(57年)では岸恵子と共演。テレビ、舞台などでも幅広い活躍をし、TBS「岸辺のアルバム」(77年)ではテレビ大賞の主演女優賞を獲得。

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ゲスト

旧家の奥様

旧家の奥様(田中絹代)

この家で安らかに往生をとげられたのも仏の思し召しと思うて、形ばかりでしたが、私どもでお弔いをさせていただきました。

甲州路にある大きな旧家の奥様。旅先の寅さんが世話になる。テキヤ仲間の伊賀の為三郎の末路を奥様から聞いた寅さんは、我が身のことと重ね合わせ、旅の暮らしの寂寥を感じる。

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旧家の奥様 第10作 田中絹代

1924年に松竹入社。無声時代からアイドル的人気を博し、松竹初のトーキー『マダムと女房』(27年)、多くの人の感涙を誘った『愛染かつら』(38年)など、戦前、戦中、戦後を通して、松竹映画のトップスターであり、日本を代表する女優として活躍。74年、栗原小巻と共演した熊井啓作品『サンダカン八番娼館 望郷』では、ベルリン映画祭で銀熊賞に輝いた。

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岡倉金之助

岡倉金之助(米倉斉加年)

頭の中にはその人のことばかし、何を見てもお千代さんの顔に見えてくる。

御前様の甥。東大理学部助教授のインテリで、とらやの二階に下宿する。食事中も書物を手にしているほどの勉強の虫で、相当の変わり者。米プリンストン大学への転職の話もあるが、千代に夢中になってしまい・・・

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岡倉金之助 第10・16・34作 米倉斉加年

1957年、劇団民藝に入団。舞台、映画、テレビドラマで活躍。シリーズ第34作『寅次郎真実一路』(84年)では、家出をするサラリーマンを好演。ほかに、帝釈天前派出所の巡査役で16作、26作に出演、夢のシーンで顔を見せている。絵本作家、画家としても活躍、野村芳太郎監督の『八つ墓村』(77年)のイラストポスターを手がけている。

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男はつらいよ 寅次郎夢枕

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

いいかい恋なんてそんな生易しいもんじゃないんだぞ。
飯食う時だってウンコする時だって、
いつもその人のことで頭がいっぱいよ。
何かこう胸の中が柔らかーくなるような気持ちでさ、
ちょっとした音でも
例えば千里先で針がポトンと落ちても
アーッとなるような、そんな優しい気持ちになって
その人のためなら何でもしてやろう。
命だって惜しくない。
寅ちゃん、私のために死んでくれる? って言われたら
ありがとうと言ってすぐにでも死ねる。
それが恋というものじゃないだろうか?

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    だけどね、本当につらいのは、お兄ちゃんよりおいちゃんたちのほうかもしれないのよ
  • 車竜造
    車竜造
    しかしなんだなあ社長、いい奴だねぇ、寅は
    オレはこれを心配していたんだよ!最悪だよ、事態は・・・
  • 車つね
    車つね
    かわいそうにね。自分のお腹を痛めた子に会えないなんて、どんなにつらいだろうね
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    とにかくね、柴又で探すのは無理だよ。関東一円探しゃあね、ひとりやふたり引っかかってくると思うんだよ。
  • 諏訪博
    諏訪博
    うちの工員にもあたってみたんだけど誰も兄さんの親戚にはなりたくないらしいんですよ
夢

昭和の初め、横浜のカフェで、女給のさくらが恋人・博の前で、高利貸しの親分に手込めにされそうになる。そこへ“マカオの寅”が参上するが…

騒動

騒動

お見合い騒動

改悛して帰って来た寅さんに「後はお嫁さんだね」と、タコ社長たちが奔走。しかし、寅さんのネームバリューは相当なもので、悲しい結末に。おいちゃんは「身から出た錆」という。

あにいもうと

あに
いもうと

寅さんは少年時代、同級生の千代を「デカラッキョウ」、妹さくらを「チビラッキョウ」といってからかっていた。

人々

人々

  • 旧家の奥様/田中絹代(テキヤ仲間、伊賀為三郎の最期を看取った)
  • 東京大学理学部助教授・岡倉金之助/米倉斉加年(御前様の甥)
  • 志村千代/八千草薫(参道で美容院アイリスを開業。寅さんの幼なじみ。)
  • 千代の別れた息子・さとし
  • 東京大学教授・湯中/清水将夫(岡倉の恩師)

寅さんの
啖呵売

啖呵売

物の始まりが一ならば島の始まりが淡路島。泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、博打打ちの始まりは熊坂の長範、ねえ、兄さんは寄ってらっしゃいは吉原のカブ。産で死んだが三島のおせん、そう、ハイ、四谷赤坂麹町チャラチャラ流れる御茶ノ水、いきな姐ちゃんたちションベン!(長野県甲府市・縁日・古本)

売ネタ

  • 古本(登と、長野県甲府市・縁日)

  • 寅さん「どうにもとまらない」
  • 岡倉先生「聖しこの夜」
  • 寅さん「七つの子」
  • 寅さん「お馬の親子」
  • 寅さん「すずめの学校」
  • 寅さん「都の西北」
  • 寅さん「草津節」
  • 寅さん「もしもし亀よ」
  • <挿入歌> 二村定一「君恋し」

ロケーション

  • 長野県 塩尻宗賀日出塩 国鉄中央線 日出塩駅/寅さんが夢から覚める。
  • 山梨県 北巨摩郡 明野村(現・北杜市)/駒ヶ岳をバックに、寅さんがひとり晩秋の路をゆく。
  • 山梨県 北巨摩郡 明野村/旧家で弁当を使わしてもらう寅さん。
  • 長野県 塩尻市 奈良井 かぎや旅館/寅さん、登と再会する。
  • 東京都 文京区 本郷 東京大学/寅さんが大学教授を訪ねる。
  • 東京都 江東区 亀戸 亀戸天神社/千代と寅さんデートする。
  • 旅先の茶店/寅さん、登たちに事の顛末を話す。
奈良井

長野県 奈良井

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長野県 奈良井

奈良井 基本情報

奈良井宿(ならいじゅく)は、中山道34番目の宿場(→中山道六十九次)。現在は長野県塩尻市に位置する。木曽路十一宿の江戸側から2番目で、11宿の中では最も標高が高い。難所の鳥居峠を控え、多くの旅人で栄えた宿場町は「奈良井千軒」といわれた。江戸寄りから下町、中町、上町に分かれ、中町と上町の間に鍵の手がある。水場は、山側に6ヶ所ある。現在も重要伝統的建造物群保存地区として、当時の町並みが保存されている。また、江戸時代から曲げ物、櫛、漆器などの木工業が盛んで、旅の土産物として人気があった。

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第10作
長野県 奈良井

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甲府

山梨県 甲府

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山梨県 甲府

甲府 基本情報

市域は山梨県の中央を南北に三日月形に縦断しており、市街中心部は甲府盆地の中央北寄りに位置する。山梨県は首都圏整備法上の首都圏に属する県であり、その位置関係から東の関東地方への志向性が強い。
2000年(平成12年)11月1日に特例市に指定された。近年では、宝石研磨産業が盛んである。
甲府という名称は、1519年(永正16年)に武田信虎が居館を石和(現在の笛吹市石和町)、次いで川田(現在の甲府市川田町)から躑躅ヶ崎館(現在の武田神社・甲府市古府中町)へ移した際に、甲斐国の府中という意味から甲府と命名したことに始まる。戦国時代には大名領国を形成した武田氏の本拠地となり、武田氏滅亡後は徳川氏や豊臣系大名浅野氏の甲斐国経営の中心となり、国中地域や甲斐国の政治的中心地と位置付けられる。江戸時代には江戸の西方の守りの要として重要視され、また甲州街道の宿場町としても盛えた。

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東京・亀戸天神

東京都 東京・亀戸天神

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東京都 東京・亀戸天神

東京・亀戸天神 基本情報

亀戸天神社(かめいどてんじんしゃ)は、東京都江東区亀戸にある神社(天満宮)である。菅原道真を祀り、学問の神様として親しまれている。特に1,2月の受験シーズン土曜・日曜には、道真の加護を求めて絵馬を奉納する受験生で境内が溢れる。

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第10作
東京都 東京・亀戸天神

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近隣のロケ地
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あの頃

食べ物

芋の煮っ転がし

急遽千代を招いての晩餐、おばちゃんにメニューを聞いたら、寅さんの好物を作ったという。でも、寅さんは「貧しいなあ、うちのメニューは。もうちょっと、何かこう、心の豊かになるおかずはないかい、たとえばさあ、厚揚げだとか、筍の煮たんだとか頼むよ」とリクエストする。寅さんの好みは難しく、栗ごはんは「腹が張って、屁が出るから嫌」だという。

モノ

自転車

千代の別れた息子、さとしが江戸川堤を自転車で遠乗りして、母に会いにやってくる。1970年代の小学生の憧れの自転車は、ウィンカー付き、変速ギアの付いた最新型のスポーツサイクル車だった。少年雑誌には、そうした自転車の広告が掲載され、男の子の垂涎の的だった。

ファッション

さくらの仕立て

朝日印刷の月給だけでは、夢のマイホーム獲得も大変なので、さくらは得意の洋裁を活かして、洋服の仕立てを受注している。アパートにはボディ、ミシンと、洋裁道具が揃っており、育児や店の手伝いの合間、夜に仕事をしている。さくらは、千代のために仕立てた服は、手放すのが惜しかったと12作で回想している。

主な出来事

12月10日
日本、第33回衆議院議員総選挙投票。
12月16日
横浜市営地下鉄開通(伊勢佐木長者町駅?上大岡駅間)
12月18日
アメリカ軍、北爆再開(ベトナム戦争)。
12月21日
東西両ドイツ、互いを国家承認。基本条約を締結。
12月22日
ニカラグアでM6.25の地震。
12月29日
イースタン航空401便墜落事故(アメリカ・フロリダ州エバーグレーズ)。103名死亡。

データ

封切り日
昭和47年12月29日
観客動員数
2,111,000人
入場料
800円
上映時間
98分
受賞歴
第28回毎日映画コンクール・監督賞/山田洋次(1973年)
第1回文化庁優秀映画(1972年)
併映作品
『舞妓はんだよ 全員集合!!』
監督:渡辺祐介 出演:ザ・ドリフターズ、吉沢京子、大信田礼子、光本幸子、芦屋雁之助
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 佐藤公信

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第10作 男はつらいよ 寅次郎夢枕