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連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
【ユーロスペースの巻/前編】

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東京人は、大きく分けて「新宿派」と「渋谷派」に大別できる気がします。昔から新宿派の自分は30年以上東京に暮らしているにもかかわらず、いまだに渋谷に行くとドキドキ。
特に慣れない夜遊びの際に訪れる円山町は、「お前はイケてるのか?」と周囲からジャッジをされているような気がして、右足と右手が一緒に出てしまうほど緊張します。
それは自分にとっての渋谷が常にフレッシュでクールな街であり、気張っていく場所だということの現れなのかもしれません。
そんなハラドキスポット、渋谷区円山町にあるのが、「ユーロスペース」さんであります!

 

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渋谷駅からの行き方はさまざまありますが、推奨は道玄坂経由。

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「109」を境に右手に行くとかなりわちゃわちゃしているので、乙女の皆様は左の道=道玄坂を選ばれるといいかと思います(道玄坂をまっすぐに進み、道玄坂上交番手前を右に曲がると左手にユーロスペースが現れます)。
少し遠回りになりますが、渋谷マークシティの中を歩いて道玄坂を登って行くと、ウィンドウショッピングも楽しめるのであります。
そして劇場で迎えてくれたのは、支配人の北條誠人さんと、岡崎真紀子さん。あの、看板にはユーロスペース以外にもいろいろな施設の名前がありましたけど、これは??

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「シネマヴェーラ渋谷も映画館ですが、ユーロスペースとはまったく別の劇場です。ただ共通の会員制度があるので、会員になると両方の映画館でお得に映画が観られます」(崎さん

その他にもユーロスペースが入居するKINOHAUSビルには、1階にカフェ「Cafe9」と本屋「BOOKS9」、トークライブハウス「LOFT9 Shibuya」、そして地下には映画美学校もあり、文化度の高いビルとなっているのです。

 

1階のカフェでは、「映画監督がお茶を飲んでいることも多い」(北條支配人)そう。運が良ければ誰かに会えるかも…。

1階のカフェでは、「映画監督がお茶を飲んでいることも多い」(北條支配人)そう。運が良ければ誰かに会えるかも…。

「ユーロスペースでは2014年11月にライブホール『ユーロライブ』を同ビルの2階にオープンし、定期公演で落語とコントライブを開催しています。不定期で映画評論家の町山智浩さん、小説家の岩井志麻子さんらの連続講義もあって、同じライブでも『LOFT9 Shibuya』とはまた違う切り口を楽しんでいただけるかと」(岡崎さん)

このビルのなかだけで一日楽しめそうです。寒くなるとあまり出歩きたくないですから! そしてこのなかではユーロスペースさんはもっとも老舗の施設ですよね。

「神保町の名画座・岩波ホールが74年、新宿にあったシネマスクエアとうきゅうが81年に、そして83年にシネ・ヴィヴァン・六本木がオープンと、アート系映画が盛り上がりを見せつつあった82年、ユーロスペースができました。当時ユーロスペースは欧日協会という会社の一部署でしたが、採算が合わないから独立させられ、今に至ります(笑)」(北條支配人)

 

 

ユーロスペースのロビー。木調×コンクリートがかっこいい。チケットはすべてこちらで当日購入します。「あまり知られていませんが、うちは高校生800円、中学生以下は500円とめちゃくちゃ学生に優しい料金設定になっています」(岡崎さん)。新作は一般1800円、旧作の場合は特集によって異なり、1400~1500円ほどです。

ユーロスペースのロビー。木調×コンクリートがかっこいい。チケットはすべてこちらで当日購入します。「あまり知られていませんが、うちは高校生800円、中学生以下は500円とめちゃくちゃ学生に優しい料金設定になっています」(岡崎さん)。新作は一般1800円、旧作の場合は特集によって異なり、1400~1500円ほどです。

 

新作も旧作も、大御所も新人も等しい価値で扱う

ユーロスペースさんといえば攻めたラインナップの印象があって、今日も若いお客さんをたくさん見かけました。

「そうですかねえ。他とそんなに変わらないと思いますけどねえ」(北條支配人)
「ねえ。吹けば飛ぶような映画館ですから、ねえ」(岡崎さん)

いやいや、なにか、なにか絶対ありますよね!

「まあ、非常に大げさなことを言うと、名の知れた大御所監督と新人の監督、そして過去作と新作が等しい価値として同じ劇場で観られるのはおもしろいんじゃないかと思いますよ。スクリーンに映されるという点では、新人も巨匠も、新旧関係なくみんな平等だという考え方ですね」(北條支配人)

それこそどんな特集を組むのか、腕の見せどころですよね。

「まあ、今かっこつけて言ったけど、後付けだよねえ」(北條支配人)
「夢ないですけどねえ」(岡崎さん)

 

トイレの案内板にはこんな遊びも。

トイレの案内板にはこんな遊びも。

 

ユーロスペースが発掘した数々の才能

では、どうやって上映作品映を選ぶのでしょうか??

「映画館って、一度オープンしたら止められない仕事なんですよ。まず、スケジュールを埋めなくちゃならない。次に売上を立てなくちゃいけない。そうしてやっと、小屋の個性を出せるという順番なんですよねえ」(北條支配人)
「海外の新人監督ものとか、売上が立たなくても頑張ってやるとかね」(岡崎さん)

ユーロスペースさんのおかげで初めて知った監督も多いです。

「横浜聡子さん(『ウルトラミラクルラブストーリー』)とか内田けんじさん(『鍵泥棒のメソッド』)、石井裕也さん(『舟を編む』)、荻上直子さん(『かもめ食堂』)とか、うちでデビュー作を飾ってビッグになった人は確かに多いですね」(岡崎さん)
「塚本晋也監督(『鉄男 TETSUO』)なんかも、『映画作っちゃったんで観てください』とかって休みの日に突然電話がかかってきたこともありましたねえ。顔が見えないシネコンでは、なかなかこういった交流はないかもしれません」(北條支配人)

そうそうたる名前が次々と…。そこで次回は、国内外の監督も絶大な信頼を寄せるユーロスペースで実際にどんな特集が組まれているかに迫ります!

 


ユーロスペース

渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3F

03-3461-0211

 

(取材・文/小泉なつみ)

 

 


ユーロスペースの巻<後編>はこちら