小津安二郎生誕120年を記念した連載コラム「わたしのOZU」。
各界でご活躍されている著名人の方々にお好きな小津作品を1本選んでいただき、お好みのテーマを切り口とした作品紹介コメントをいただく企画です。

第６回は、ビームス ジャパン クリエイティブディレクター 鈴木修司さんの作品紹介です。

クリエイティブディレクター 鈴木修司

1976年生まれ。三重県松阪市出身、鎌倉市在住。1998年にビームス入社。ショップスタッフを経て、“fennica”のMD（マーチャンダイザー）、 “B:MING by BEAMS”のバイヤーを担当、現在は“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクターに従事する。映画『男はつらいよ』とのコラボ企画「男はつらいよ ビームス篇」の仕掛け人で、その他多数の企画にも関わる。「ビームス ジャパン 銘品のススメ」著者、「小学生からの都道府県おでかけ図鑑」監修。

「色鮮やかな小津作品」―『彼岸花』

私の生まれ故郷は、三重県は松阪市。“蒲生氏郷”が開いた城下町であり、木綿などの商いで江戸を席巻した“松阪商人”の拠点でもある町です。そして、小津安二郎監督が青年期を過ごした町としても知られています。東京の深川生まれの小津監督ですが、商人であった父の故郷である松阪に移り住み、一時は隣村の学校の先生を務めていました。ちなみに私は大学生まで松阪で過ごし、今は東京勤めの鎌倉在住です。鎌倉にも住まれていた小津監督に勝手に縁を感じています。ちなみに松阪市には、青年期を中心とした小津監督の貴重な資料が展示された”小津安二郎松阪記念館（松阪市立歴史民俗資料館 2階）”があるので、“まっつぁか（松阪）”にお越しの際はぜひお寄りください。

　ところで、“わたしのOZU”は「彼岸花」です。私がディレクターを務める“ビームス ジャパン”で、生誕120年を記念した商品を企画しています。小津監督に縁のある地域の名産品、小津監督の世界観を表現したもの、様々です。それらを考える上で、色々と作品を見返したのですが、運良くその時に鎌倉の“川喜田映画記念館”で上映されていたのが「彼岸花」でした。初のカラー作品には象徴的に“赤色”が出てきます。琺瑯のポット、幸子の帯、久子のバッグ、湯呑みの柄、そこかしこに“赤”です。どこまで表現できたか自信はないですが、その赤にちなむものも企画しました。色々と調べるつもりが、結局は映画に魅せられてしまい、あまり仕事にならなかったことを告白します。

「彼岸花」には、見所が沢山です。挙げるとキリがないですが、会社では重役の頑固で理不尽な父、すべてを包む寛大で優しい母、悩みながらも嫁いでいく娘、それらを囲む家族や同窓生の面々、これぞ小津映画と言わんばかりの皆の掛け合いがたまりません。しかも、京都から時折現れる幸子とその母の調子の良さが大きなアクセントとなり、もう最高です。“小津のフルコース”と呼んでしまいたいくらい。言い方が過ぎたかもしれませんが、そんな「彼岸花」が大好きです。

鈴木　修司

『彼岸花』
原作：里見弴
監督：小津安二郎
脚本：野田高梧、小津安二郎
出演：佐分利信、田中絹代、有馬稲子、久我美子、佐田啓二、高橋貞二、山本富士子、桑野みゆき、笠智衆、浪花千栄子
製作：1958年
作品詳細：https://www.cinemaclassics.jp/ozu/movie/2846/
配信：https://lnk.to/Higanbn
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世界に誇る日本の名監督、小津安二郎の生誕120年記念アイテム発売！

小津安二郎生誕120年を記念し、アーティスト・長場雄さんに作成いただいた『東京物語』『秋刀魚の味』『お早よう』のアートワークを、〈ビームス ジャパン〉がスペシャルコラボレーションアイテムに落とし込みました！
2023年7月14日（金）発売の第一弾では、長場雄のアートワークを前面に配したTシャツやバッグ、小津監督のアイコンともいえるピケ帽をあしらった足袋ソックスを展開。Tシャツの首元には本企画のために作った特別なネーム、さらに各アイテムには小津監督の名言が入った下げ札が取り付けられます。

ビームス公式オンラインショップ：https://www.beams.co.jp/news/3594/

小津安二郎公式WEBサイト：https://www.cinemaclassics.jp/ozu/