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連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
【ラピュタ阿佐ヶ谷の巻/後編】

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肩にリスを乗せたおばあさまが現れそうな、かわいいかわいい映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」さんにお邪魔しています。

前編に続き、超マニアックな旧作邦画特集をバシバシと繰り出している石井紫支配人からお話を聞いていきますよ!

 

お客さんのリクエストを次々に実現

「98年の開館当初、ラピュタ阿佐ヶ谷はアニメ専門の映画館でした。しかし老舗の名画座が次々と閉館するなか、邦画の名作を観られる映画館を残したいという思いから、今のような日本映画専門の劇場になっていったんです。

 そんななか、住宅街にある映画館という珍しい立地もあり、周辺住民の皆さんに劇場が認知されるまでは、“エロ・グロ・暴力”作品はやらないと決めていました」(石井支配人。以降「」内、同氏)

 

ロビーには映画関連の書籍やマルベル堂のプロマイドなどが販売されています。

ロビーには映画関連の書籍やマルベル堂のプロマイドなどが販売されています。

 

今ではガンガン、オールジャンルの邦画を上映されていますが、それらの作品がほぼ未見かつ名前も聞いたことのないようなディープなものばかりなのがすごいです。

「コアな映画ファンの常連さんから、よくリクエストをいただくんです。そのなかでものすごい数の要望をいただいたのが、東映の『警視庁物語』シリーズ。あまりに熱が高かったので、劇場としてはじめてニュープリントを作って上映に踏み切りました。10月16日からはじまる『東京映画地図第二弾』特集でも同シリーズの1本をかけますので、それは大きな目玉ですね」

 

映画雑誌「キネマ旬報」で連載中の宮崎祐治氏による同名企画を、ラピュタ阿佐ヶ谷で上映。第二弾となる今回も、『東京・丸の内』や『蟻の街のマリア』『猫が変じて虎になる』など、映画好きにはたまらないラインナップが揃っています。

映画雑誌「キネマ旬報」で連載中の宮崎祐治氏による同名企画を、ラピュタ阿佐ヶ谷で上映。第二弾となる今回も、『東京・丸の内』や『蟻の街のマリア』『猫が変じて虎になる』など、映画好きにはたまらないラインナップが揃っています。

 

こんな風に映画館に応えてもらえたら、お客さんも狂喜乱舞ですね。

「ニュープリントが揃ってきたら『警視庁物語』シリーズだけで連続上映したいと思っています。予算もけっこうかかっているので、たくさんの方に来ていただかなくては!(笑)」

 

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パッケージ化されていない「警視庁物語」だけに、ラピュタ阿佐ヶ谷での上映は間違いなく貴重な機会!

 

「特集上映は、本当に“見せ方”が肝だなあと思いまして。年間たくさんの特集をやるので、なかには過去に上映したことのある作品が含まれることも当然あります。でも、『おんな番外地 鎖の牝犬』や『駈けだし刑事』などは、特集によって集客数に大きな差が出たんですよ。つまり、その作品を活かすも殺すも、こちらの“見せ方”という腕次第なんですよね」

なるほど…。映画に限らず、あらゆる商品を扱う人々にとっても大事なお話なような気がします!

 

ロビーからお庭が臨めるこの席がおすすめです。

ロビーからお庭が臨めるこの席がおすすめです。

 

そして今回も、劇場スタッフさんのおすすめスポットを巡ってきましたよ!

 

【番外編】ラピュタ阿佐ヶ谷・石井支配人のオススメスポットその①

古書コンコ堂

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ラピュタ阿佐ヶ谷から徒歩5分ほどの場所にある古本屋さん「古書コンコ堂」。石井支配人も帰りがけに寄ることが多いというこちらのお店、古書を扱っているとは思えぬほどおしゃれでキレイです。

 

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漫画からデザイン書、建築、音楽、映画など幅広いジャンルの古本を扱う店内ですが、その本の並べ方が絶妙!「この本が好きな人は、あれも好きだよね」というススメ方が的確すぎて、私も思わず2冊購入してしまいました。

 

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カウンターに置いてある天然石のアクセサリーもナイス!

 

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「コンコ堂」の名前の由来は、「玉石混交」。その多彩なラインナップから、じっくりと自分の1冊を選んでみてください。 

■古書コンコ堂  

杉並区阿佐谷北2-38-22キリンヤビル1F

03-5356-7283

 

 


 

【番外編】ラピュタ阿佐ヶ谷石井支配人のオススメスポットその②

あるぽらん’89

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ラピュタ阿佐ヶ谷から歩いて2分ほど。スターロード商店街にある「あるぽらん’89」は、石井支配人も打ち上げなどでよく利用するという居酒屋さんです。

 

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狭い鉄の階段から、あるぽらんワールド全開。そして2階に上がってなかに入ると、秘密基地のような大人の遊び場空間が広がっておりました!

 

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出版社から脱サラして89年にオープンしたというオーナーの佐々木さんが、毎晩カウンターに立ちます。所狭しと店内に貼られた演劇や映画のポスターも圧巻です! 

「うちはね、レトロなんじゃなくて本当に古いんだよ」(佐々木義孝氏。以降、「」内同氏)

たしかに、いい味出てます!お店にはちょっとしたステージもあり、無声映画の上映会やライブなどを開催しているそう。クリエイターのお客さんが多そうですね。

「今夜もちょうど映画『お盆の弟』の大崎章監督がこれからスタッフと飲みに来るよ。阿佐ヶ谷って土地柄もあるかもしれないけど、毎年春になると夢を膨らませて上京してきた若者が『バイトで雇って下さい!』ってやって来るねえ。最近はネットとかで情報が拡散してるから、僕よりも僕の店に詳しい人も多くて驚くねえ」

佐々木さんのまったりした雰囲気、バイト志願したくなるのも分かる気がします!

 

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そしていただいたのが、ゴーヤのピザとオリオンビール。

 

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苦いゴーヤと、しょっぱいチーズ&ベーコンが合いますね。ハムハム…。

 

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ふう、ごちそうさまでした!と思いきや、このお皿って別のお店のもの??

「うん。中華料理屋のマスターが閉店するときに譲ってくれたの」

なんだかほっこりしました…。ラピュタ阿佐ヶ谷での鑑賞後は、また佐々木さんと一献傾けたいです!

 

■あるぽらん’89 

杉並区阿佐谷北2-11-2

03-3330-8341

(取材・文/小泉なつみ)

 

 


ラピュタ阿佐ヶ谷の巻<前編>はこちら