男はつらいよ

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男はつらいよ 葛飾立志篇
スタッフ

第16作 (昭和50年12月 公開)
男はつらいよ 葛飾立志篇

寅さんを訪ねた女学生・最上順子(桜田淳子)は、もしや寅さんが実父ではないかと、さくらたちを困惑させる。ひと騒動あって、寅さんはまたもや旅の人。その間に、御前様の親戚の大学助手の筧礼子(樫山文枝)がとらやに下宿することになる。柴又に戻ってきた寅さんは、俄然向学心に燃え、礼子が家庭教師となる。伊達眼鏡をかけて猛勉強する寅さんは、やがて礼子の恩師・田所教授(小林桂樹)と意気投合する。その田所は礼子に思慕を寄せていた…
 寅さんが決然と「己を知るために」学問を志す。その動機はなんと、美しきマドンナという不謹慎さ。喫茶店で寅さんが初対面の礼子に「何のために学問をするのか?」と質問をするが、それは旅先で出会った僧侶(大滝秀治)の言葉を鵜呑みにしたもの。マドンナに樫山文枝を迎え、映画やテレビの『日本沈没』で地震学者を演じていた小林桂樹が、役名も同じ田所先生として登場! 巻頭で寅さんを「瞼の父かも?」と、訪ねてくるのは、人気アイドルだった桜田淳子。

筧礼子

筧礼子

これからも
(考古学を)一生続けて行くことに
何の疑問も持っていなかったんだけど、
それがいざ結婚ということが起きてみると、
根本からぐらいついてしまって・・・

マドンナ

筧礼子

筧礼子(樫山文枝)

東京大学で考古学研究室助手をつとめる才媛。御前様の親戚にあたる。とらやの二階に下宿し、寅さんの家庭教師となる。自分は何のために学問をするのか? 寅さんの思わぬ問いに戸惑う。恩師である田所教授(小林桂樹)から結婚を申し込まれる。

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筧礼子 第16作 樫山文枝

劇団民藝所属。NHK朝の連続テレビ小説「おはなはん」(66年)のヒロインでお茶の間の人気者に、『黒部の太陽』(68年)、『孤島の太陽』(68年)といった映画に出演。「おはなはん」のテーマ曲を倍賞千恵子が歌い、松竹映画版(岩下志麻主演)の脚本は山田洋次監督が執筆。

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ゲスト

最上順子

最上順子(桜田淳子)

お父さんなの?

山形県寒河江市の女子高生。母一人、娘一人だったが、その母親も最近亡くして、懸命に生きている。毎年、学費の足しにと送金してくれる寅さんを、本当の父親ではないかと、修学旅行で上京した際に、とらやを訪ねる。

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最上順子 第16作 桜田淳子

中学二年の1972年、NTV「スター誕生」で優勝、翌年「天使も夢みる」でデビュー。山口百恵、森昌子とともに「花の中三トリオ」として人気アイドルとなる。映画は『スプーン一杯の幸せ』(75年)、『遺書・白い少女』(76年)に主演。92年の『お引っ越し』の演技で高い評価を受け、第17回日本アカデミー賞助演女優賞などに輝いた。

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轟巡査

轟巡査(米倉斉加年)

この物語は私に勇気と希望を与えてくれました

警視庁亀有警察署・帝釈天前派出所勤務の巡査。

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轟巡査 第10・16・34作 米倉斉加年

1957年、劇団民藝に入団。舞台、映画、テレビドラマで活躍。シリーズ第34作『寅次郎真実一路』(84年)では、家出をするサラリーマンを好演。ほかに、帝釈天前派出所の巡査役で16作、26作に出演、夢のシーンで顔を見せている。絵本作家、画家としても活躍、野村芳太郎監督の『八つ墓村』(77年)のイラストポスターを手がけている。

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慈恩寺の和尚

慈恩寺の和尚(大滝秀治)

己の愚かしさに気がついた人間は、愚かとは言いません

順子の母・雪が眠る、慈恩寺の墓所で、寅さんに「論語」について話す和尚さん。

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慈恩寺の和尚 第16作 大滝秀治

劇団民藝代表。今井正監督の『ここに泉あり』(55年)を皮切りに、映画、舞台、テレビで活躍。第16作『葛飾立志篇』の住職、第17作『寅次郎夕焼け小焼け』の古書店主、第22作『噂の寅次郎』の雲水など、印象の強いキャラクターを好演。山田洋次監督の『母べえ』(08年)の野村医師でも好演している。

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田所教授

田所教授(小林桂樹)

君は僕の師だよ

考古学教授。寅さんに「シベリヤからの引揚者か?」と言われてしまうほど、汚れた身なりをしているが、実は博覧強記の蘊蓄王。恋の本質を語る寅さんに「君は僕の師だ」と賞賛するほどの純情を持ちあせている。

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田所教授 第16作 小林桂樹

1942年、日活映画『微笑みの国』でデビューを果し、戦後は大映の二枚目として活躍。1951年、東宝の『ホープさん』を皮切りに、『三等重役』(52年)、「社長シリーズ」(51〜70年)など、東宝サラリーマン映画の顔となる。73年、『日本沈没』で演じた、地球物理学者・田所博士を、74年のテレビ版で再び演じ、当り役となった。日本映画、演劇界を代表する芸歴60年の名優。

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男はつらいよ 葛飾立志篇

今回の寅さん

寅さん
名ゼリフ

寅「姉ちゃんは、何のために勉強をしているんだい?」
礼子「さあ・・・」
寅「考えてみたことは、ねえかい?」
礼子「そうですね・・・つまり」
寅「己れを知るためよ」

車一家登場人物の一言

  • 諏訪さくら
    諏訪さくら
    もらっときなさい、兄はお金持ちなんだから
  • 車竜造
    車竜造
    こいつは馬鹿だけど、嘘をつかねえ男だから
  • 車つね
    車つね
    わかんない男だねぇ、そうやって偉い学者の先生たちが、いろいろ研究してくださってるからこそ、私たちがこうやって平和に、暮らしていられんじゃないの
  • 桂梅太郎
    桂梅太郎
    今日はねえ、もうようやくねえ、手形がひとつ落とせたんでね、お祝いにね、一杯やっちゃったんだよ
  • 諏訪博
    諏訪博
    いいですか、勉強して目が悪くなって、その結果、メガネをかけるんですよ。メガネをかけたからといってね、勉強したことにはなりませんよ
夢

西部。酒場で歌姫が兄を想いながらバラードを歌っていると、悪党たちが彼女に絡む。そこへタイガー・キッドが登場。彼こそ行方不明の兄だったのだ…

騒動

騒動

隠し子騒動

とらやに可憐な女子高生が訪ねてくる。もしかしたら「寅さんの隠し子か?」という疑惑が持ち上がり、一家は大慌て。

あにいもうと

あに
いもうと

順子のために、財布の中の全財産をはたいてしまった寅さん。「隠し子騒動」のあげく、例によって旅に出る寅さんの財布に、自分の財布からお金を入れてあげる。

人々

人々

  • 最上順子/桜田淳子(寅さんを父かも?と思ってとらやを訪ねる)
  • 帝釈天前派出所勤務・轟巡査/米倉斉加年
  • 慈恩寺の和尚/大滝秀治(寅さんに「論語」を話す山形の和尚。)
  • 田所教授/小林桂樹(礼子の恩師で、考古学一筋の学者。)

寅さんの
啖呵売

啖呵売

雨ニモ負ケズ風ニモメゲズ、何処へ持っていっても、長持ちのする物、ねっ、はい、これ見てごらん、どう、ね。ハイ、ハイ女学生の皆さんちょっとこっちいらっしゃい、ちょっとこっちいらっしゃい。これ見てちょうだい、どうハイ、ほら中学生、高校生の皆さんみんなこっちいらっしゃい、どう、これ手に持って見てね、どう、みなさんもう修学旅行はもうしました?・・・まだしない? 来年はきっとします。(上の山観音・水岸山、観音寺の祭礼・鞄)

売ネタ

  • 鞄(上の山観音・水岸山、観音寺の祭礼)
  • 文房具(源公と、東京都葛飾区金町・すずらん通り商店街)

  • さくら「さくらのバラード(西部劇版)」
  • 轟巡査「私の青い鳥」
  • 社長「心のこり」
  • 田所教授「ソーラン節」

ロケーション

  • 長野県 小諸市 田舎道/寅さんが荷馬車でうたた寝をしている。馬子役は装飾の露木幸次。
  • 山形県 上山市 かみのやま温泉/上の山観音(湯の上観音)水岸山・観音寺の祭礼で寅さんが啖呵売。
  • 山形県 大江町 最上川 渡し舟。
  • 山形県 寒河江市 慈恩寺/お雪さんの墓参をする寅さん。
  • 津市・西浦付近。寅さんと田所先生の旅が続く。
寒河江

山形県 寒河江

日本地図
山形県 寒河江

寒河江 基本情報

寒河江市(さがえし)は、山形県のほぼ中央にある人口約4万1千人の市。西村山郡の中核都市として発展してきたほか、県内随一のサクランボの産地としても知られる。

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あの頃

食べ物

うなぎ

順子をもてなそうと、寅さんが御馳走を、とおばちゃんやさくらに準備させる。出前でうなぎを取ろうとすると、おばちゃんは「あたし、うなぎ嫌いだよ」といい、「さくらちゃんもだよ」とだめ押しをする。シリーズにはしばしば“うなぎ”の話題が登場。第2作では、散歩先生(東野英治郎)が、江戸川のナチュラルなうなぎを所望し、第16作では、池之内青観(宇野重吉)がとらやに付けてうなぎやで一杯。第25作では、飲まず食わずの寅さんが、目の前のうな重を・・・

モノ

布団の綿入れ

寅さんからの電話を満男が受ける場面。おばちゃんとさくらが、布団の綿入れをしている。季節の変わり目には、どこの家庭でも見られた光景だが、布団の綿入れは、熟練の技術を伴うということで、現在では“国家検定綿入技能士”という国家資格となっている。

ファッション

眼鏡

学問を志した寅さんが、まずは“気分から”と柴又商店街の時計宝石店でだて眼鏡を購入。寅さんは大真面目だが、周りのリアクションは手厳しい。おばちゃんは「色眼鏡はおしゃれな人がかけたりするけど」と、寅さんの眼鏡にはあきれ顔。眼鏡が登場したのは13世紀頃のイタリア。日本に伝えたのは宣教師のフランシスコ・ザビエルとされている。

主な出来事

11月15日
第1回主要国首脳会議がフランスのランブイエで開催。
11月26日〜12月4日
スト権スト実施。
12月10日
1968年の同日に発生した三億円事件が時効成立。
12月14日
国鉄の蒸気機関車が引く最後の旅客列車が室蘭本線の室蘭駅-岩見沢駅間で走行。

データ

封切り日
昭和50年12月27日
観客動員数
2,131,000人
入場料
1,200円
上映時間
100分
受賞歴
併映作品
『正義だ!味方だ!全員集合!!』
監督:瀬川昌治 出演:ザ・ドリフターズ、榊原るみ、キャンディーズ、ミヤコ蝶々
スタッフ
監督 : 山田洋次 脚本 : 山田洋次 朝間義隆
原作 : 山田洋次
撮影 : 高羽哲夫
音楽 : 山本直純
美術 : 出川三男

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第16作 男はつらいよ 葛飾立志篇