松本清張

松本清張まつもとせいちょう

小説家1909〜1992年

プロフィール

福岡県小倉市(現北九州市小倉北区)生まれ。給仕や印刷工など、さまざまな職業を経て、朝日新聞九州支社に入社。その後、軍隊に招集され36歳の時に復員。41歳で、週刊朝日の懸賞小説に応募。入選した「西郷札」が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、「或る「小倉日記」伝」で芥川賞受賞。以降、純文学、古代史、歴史小説、推理小説、ノンフィクション、と多岐にわたる分野で、人間を普遍的な視点で描き、ベストセラーを生み続けた戦後最大の人気作家。

映画『砂の器』(74)記者会見にて 左から橋本忍、松本清張

映画『砂の器』(74)記者会見にて 左から橋本忍、松本清張

野村芳太郎監督作品とのかかわり

清張は、自作の映像化に際し、「原作の本質を崩さない」ことを守った上での、意義がある設定の変更に理解を示し、協力を惜しまなかった。その情熱ある姿勢により、初映像化作品の映画『顔』(57)から、現在に至るまで、魅力的な映像作品が多数制作されている。
野村芳太郎監督は、キャリアの分岐点となった『張込み』(58)を含め、8作品を映画化。公開50年を超えて、愛され続けている『砂の器』(74)や清張自身が脚本化にもかかわった『疑惑』(82)など、「人間の業や営み」を本質的にとらえた作品群は、時代を超えて観客の心をとらえ続けている。