連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
【シネマヴェーラ渋谷の巻/後編】
カテゴリ:連載「女ひとり、名画座行ってきます。」
前編に続き、シネマヴェーラ渋谷さんにお邪魔しております!
警察車両まで来た名特集
ご夫婦で経営されているシネマヴェーラ渋谷さんでは、現在奥様の内藤由美子さんが支配人を務め、編成もすべて行っているそう。そんな中でも特に思い出深かったプログラムをお聞きすると…。
「ダントツで安藤昇特集です。日本映画特集の中でもっともお客様に来ていただいた特集でした。
安藤昇さんはヤクザから俳優に転身した方で渋谷を根城にしていました。なので絶対にここ渋谷でやりたかった念願の企画だったんです。そっち系のお客様にもたくさん来ていただきましが、こちらからなにも言っていないのに警察車両が映画館前に出動した時はさすがに驚きましたね(笑)」(内藤由美子支配人/以降「」内同氏)
ゴダール少女と仰っていた方とは思えぬラインナップです!そして今後も攻めの特集が続くそうで…。
「エルンスト・ルビッチ特集の第2弾『ルビッチ・タッチⅡ』を5月19日まで上映します。邦画をかけることが厳しくなっていくなか、少しずつ洋画の権利も充実させて準備してきたもののひとつです。ちなみに、第一弾のルビッチ特集は10年間の歴史の中で最も大入りを記録し、毎回立ち見がでるほどでした。ですので、今回も良いお席を確保されたい方はなるべくお早めに劇場にお越し下さいね」
「続く5月20日からは、『石井輝男十三回忌』特集です。彼の作品はモンドでもありカルトでもあり…私自身、勉強してすごく好きになった監督の一人。腰を抜かすようなものばっかりなんですけど、特におもしろいのは東映の異常性愛路線とかかな。
過激さばかりに目がいきがちですが、スタジオ全盛時代の作品なので、衣装や美術も素晴らしい。なので、今だとオシャレ映画として観られると思いますよ。あのタランティーノも大好きだそうです」
「異常性愛記録 ハレンチ」「徳川女刑罰史」「徳川いれずみ師 責め地獄」などなど、タイトルだけでもビンビンくるものばっかりです!!
そして今回も支配人から教えてもらったオススメスポットにもお邪魔してきましたよ!
【番外編】シネマヴェーラ渋谷・内藤支配人のオススメスポット①
MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店
「映画書が充実していてオススメ!」と伺ってきたのが、シネマヴェーラ渋谷から徒歩3分、東急百貨店本店7階にあるMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店さんです。
受付から広い店内を歩いてずずずいーっといくと右手に見えてくるのが、映画書コーナー。
映画雑誌から監督・作品論、俳優ガイドなどなどかなり細かくジャンル分けされている上に、「映画配給会社」なんてカテゴリーも…!
シネマヴェーラ渋谷で実際に観た映画を、MARUZEN&ジュンク堂書店で知識として補強する…。そんな使い方がめちゃくちゃ良い気がしました!
■MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店(公式サイト)
【番外編】シネマヴェーラ渋谷・内藤支配人のオススメスポット②
Millibar ミリバール
そして内藤支配人にオススメしてもらったもう1軒は、MARUZEN&ジュンク堂書店の入っている東急百貨店の目の前のビルにある、「ミリバール」さんであります!
一見さんお断りではないですが、一見さんでは見つけられない可能性大なので、下の住所をよく確かめてからLet’goしたいところです。
ここで店主の清野さんがオススメしてくれたのが、「チキン・ガンボ」(¥1,000)なるニューオリンズ風の煮込み料理。
オクラがたっぷり入っているから、スルスル飲める…。チキンはホロホロだし、スパイシーだけど辛いだけじゃなくて滋味深くって、本当にうまいっす!
ところで清野さんは何年くらいお店をやっているんですか?
「今年で21年目ですねえ。あっという間ですねえ」(清野秀恒店長/以降「」内同氏)
私、バーのマスターにお聞きしてみたかったんですが、話したがりの人なのか話しかけないで欲しい人なのか、どうやってお客さんのタイプを見極めるんですか。
「ひたすら携帯をいじってる人って、あまり話しかけて欲しくないからそうしてるのか、本当に必要に迫られてそうしてるのか、はたまた、本当は話したいんだけど、自分からきっかけを作れなくて携帯に逃げているのか…見極めが難しいですねえ。もし3番目のケースだったら携帯のせいで会話のチャンスを逃してしまうので、ちょっともったいない気もしますねえ」
コミュニケーションの鬼のバーマスターでもそうなんですね!
あ、ここに紅茶焼酎なんてあるじゃないですか!気になります!
「これは店で作ってるんですよ。黒糖焼酎ベースでいいですよ」
ガンボといいお酒といい、こだわりが詰まっていますね!さらに「アイリッシュ・シチュー」なんてメニューもありますし、ワールドワイドです!
「でもアイリッシュ・シチューは地味なんですよ。酒もアイリッシュは地味ですけどね、シチューまで地味なんですよ」
そんな物知りの清野さんは音楽にも詳しく、店内ではレゲエからロック、ソウルなどなど、いろんなジャンルの清野さんチョイスミュージックが楽しめます。
そして嬉しいのが、消費税込の値段表記!ガンボだけなら1000円札1枚でいけちゃうのが嬉しいですね。
ライブ帰りや映画館帰りの人もよく訪れるという文化度の高いバー、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう!
■Millibar ミリバール