【小津4K】『東京暮色』有馬稲子さん舞台挨拶レポート
世界に誇る⽇本の巨匠、今もなお国内外で⾼い評価と⽀持を得ている⼩津安⼆郎。 ⽣誕115年にあたる今年、4Kデジタル修復版特集上映「⼩津4K 巨匠が⾒つめた7つの家族」が、6⽉23⽇(⼟)より⾓川シネマ新宿にて始まりました。 2月のベルリン国際映画祭にて4Kデジタル修復版でワールドプレミア上映された『東京暮色』。 有馬稲子さん演じる次女・明子の憂いある表情のメインビジュアルも印象的でした。 今回は、6月24日(日)に行われた有馬稲子さんのトークショーの様子をお届けいたします!
● 『東京暮色』の有馬さんってとってもいいですね 上映後の余韻冷めやらぬ中、満席の客席から溢れんばかりの拍手で女優の有馬稲子さんが登壇。 『東京暮色』4Kデジタル修復版を昨日再度見たという有馬さんは、まず「この有馬さんはいいですね」とご自身のことを話し、会場をどっとわかせました。
「演技をしていない。あの当時だからこその<清純さ><純潔さ>という感じが自然と出ていました。 でも、あれだけ純粋だからこそ男に振り回されたり思わず妊娠してしまったんでしょうね。」
と、ご自分の役を客観的に解説し、当時のセリフをトレースしたりとサービス満点でした。 また、「4K」についても
「光の陰影に深みが出て、濃淡がはっきりとし、とっても綺麗でした。小津さんにも見せたら喜ぶと思います。」
と絶賛でした。 ● 素晴らしい共演者たちに囲まれた
「小津さんのキャスティングのうまさにつくづく感心しますね。 脇を固める人たちも含めて役者がみんないい。まず笠智衆さんのことは大好きで、あんなお父さんがいたらなとずっと思うくらい。 高橋貞二ちゃんはのらくら、でたらめさのある芝居が本当にうまい方でした。いい加減な男をやらせるとピカイチで、あんな人が実際にいたんです。」
と笑いを誘い、原節子さんについては
「当初はもっとたくさんのシーンに出ればいいのにと思っていたけど、改めて見ると隅々で活躍していたんです。 深夜の警察でのシーン、コートを着てショールをしてマスクをした原さんがとっても綺麗、 こんなに綺麗な人見たことないと思うくらい素敵で4Kだとなおさら綺麗でした。」
と、4Kで美しく蘇った姿に感動した様子でした。
「杉村春子さんのおばちゃん役もとってもいい。おっちょこちょいなあの感じが本当にうまいんですね。 山田五十鈴さんは、特にラストシーン、人を探している目がキョロキョロせずにじーっと見ていて、その目がとても印象的でした。 あのシーンはノーメイクで臨み、傷んだ肌も出した、その役者根性が本当にすごかったです。 うまい人に囲まれていたから演技ができたんですね、当時何も知らないことが活かされた。この映画が大好き。 昔からある日本らしい家庭が笠智衆さんを中心にカチッとできている。 小津さんの作る家族という名の建造物が大好きだから小津さんの作る映画が大好きなんです。」
そう共演者たちの演技に改めて感激しつつ、と笑みをこぼしました。 ● 小津安二郎監督との撮影&プライベート秘話
「実は当時は小津先生が偉い人だってことは知らなかったんです。 小津組の撮影が終わってから名匠だということを知ったから、次の『彼岸花』に出演した時は緊張で上がってしまったんです。 撮影現場で、17時頃になると小津さんは時計をちらちら見だすんです。 早くお酒を飲みたいんですね。そうすると『すき焼き食べる?』なんて誘ってもらってよくご馳走になったんです。」
と小津監督との思い出を語りました。 演出についての思い出を聞かれると
「テーブルの上に並べられた小道具を全部直すんです。 ローアングルからレンズをのぞき込んで 『3cm大船へ、4cm 鎌倉へ』と言って位置を完璧に直し切ってから撮影に入っていました。 小津さんの映画はとても絵画的に作っていたんですね。」
と語りました。また小津作品のセリフは短いことを指摘し、
「すごく難しかったです。『行くの』というセリフだけでも何度も言い直させられたんです。 でも小津さんがお手本として言うのがものすごく上手くてとても真似できなかったです。」
と会場からも驚きの声が上がりました。 有馬さんは鎌倉の小津監督の家に遊びに行ったことがあるようで
「いつもチャコールグレーのスーツを着ている小津監督に”この服しか持っていないのかな”と思っていたら、 家に遊びに行った時、押入れが空いていたから覗くとチャコールグレーのスーツがバーッと10着くらい並んでいたんです。」
と会場を沸かしました。 ● 失敗作と言われた当時、そして再評価された現在。
「いつもキネマ旬報で1位とか2位を獲っていた小津監督作品だったんですが、この『東京暮色』は当時19位。 小津監督は残念がっていましたが、今年ベルリン映画祭で上映されて ヴィム・ベンダース監督と坂本龍一さんがトークショーを開催するなど、今また再評価されているんです。」
と樋口さんから昨今の再評価について語られました。有馬さんは
「映画は白黑が好き、モノクロ映画特有の陰影や濃淡がいいんです、そう考えると小津さん というのはやっぱり大監督ですね。」
と賞賛を送りました。
「小津作品には2作品しか出ていないので、 もうちょっと松竹に在籍していたら他にも小津作品に出られたかもしれないですね。」
とちょっと後悔しつつも、最後は「本当にいい人、いい監督でした!」と締めくくりました。 現在、角川シネマ新宿で公開中の「小津4K」 4Kデジタル修復版として美しく蘇った『東京暮色』は以下のスケジュールにてご鑑賞いただけます。
■7/5(木)16:15 ■7/7(土)10:30
ぜひ、この機会に大スクリーンでご鑑賞ください!
◆角川シネマ新宿公式サイトで座席のWEB予約も可能です!
※上映は終了いたしました。
生誕115年記念企画 『小津4K 巨匠が見つめた7つの家族』大好評開催中!
今回カンヌに出展された『東京物語』をはじめ、全7作品が 4Kデジタル修復版として一挙上映!
【東 京】◆新宿ピカデリー:6/16(土)〜6/22(金)
◆角川シネマ新宿:6/23(土)〜7/7(土)
【大 阪】◆なんばパークスシネマ:7/6(金)〜7/12(木)
【名古屋】◆ミッドランドスクエアシネマ:7/13(金)〜7/26(木)
【福 岡】◆T・ジョイ博多:7/21(金)〜7/27(木)
【兵 庫】◆神戸国際松竹:8/10(金)〜8/23(木)
【宮 城】◆フォーラム仙台:8/17(金)〜8/30(木)
【長 野】◆長野ロキシー:11/17(金)〜12/14(木)
公式サイト http://cinemakadokawa.jp/ozu4k-115/
※上映は終了いたしました。