2024.02.28
人類が初めて月面着陸に成功し、日本中が高度経済成長に沸き返っていた昭和44年(1969年)8月27日。1本の映画が劇場公開されました。山田洋次監督、渥美清主演による『男はつらいよ』は、人々を笑いと涙で包み込み、のちに「一人の俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネス世界記録に認定されるなど、総観客動員数8,000万人を超える国民的映画シリーズとなりました。
平成を経て、令和元年(2019年)には50周年を迎え、それまでの全49作が4Kデジタル修復技術によって蘇り、奇跡の第50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が製作され、日本中に再び寅さんブームを巻き起こしました。
その後、世界中を襲ったコロナ禍は、社会も、人々の意識や行動も一変させました。そして、そのコロナ禍からの出口がようやく見えた2024年、第1作の劇場公開から55周年を迎えます。
すべての人々の背中を“55”(ゴーゴー)と押してくれる寅さんの笑顔や言葉とともに、55周年プロジェクト「Go! Go! 寅さん」として2025年12月31日まで約2年かけて、盛りだくさんのメニューでお届けしてまいります。
今回は第一弾として、そのうちの一部を発表いたします。
キービジュアルは、「Go!Go!寅さん」プロジェクトのコンセプトに沿って、「明るく、前向きな寅さんの笑顔」を前面に押し出し、軽やかな跳躍で勢いを表現しています。また、「そうよ、人生は賭けよ。」というコピーは、『男はつらいよ 純情篇』(第6作/1971年)より、“挑戦する人々の背中を押し、励ましてくれる”寅さんのセリフを大きく打ち出しています。
ロゴには寅さんのトレードマークの一つでもある、こだわりのハットをあしらい、こちらも軽やかなイメージを表現しています。
・キービジュアル
・ロゴ
番組名「渥美清にあいたい 山田洋次×黒柳徹子」
放送局…NHK-BS
放送日時…3/17(日)14:49~15:48
脚本・演出を手掛け活躍する山田洋次。テレビ・舞台で“笑い”を届ける黒柳徹子。90歳を超える2人が今、どうしても語りたい人がいる。盟友「渥美清」だ。兄妹の様に仲が良かった黒柳、「男はつらいよ」をともに作りあげた山田。2人が「私しか知らない渥美清」を語り合う。 「夢であいましょう」などの貴重な映像と共に明かされる知られざるエピソード。渥美清にしか作れなかった笑いの秘密が今、浮かび上がる。
また、特番にあわせて同局では映画『男はつらいよ』シリーズから特選の4本を放映
●3/4(月)13:00~『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(第17作/1976年)
●3/5(火)13:00~『男はつらいよ 噂の寅次郎』(第22作/1978年)
●3/17(日)13:00~『男はつらいよ 柴又慕情』(第9作/1972年)
●3/24(日)12:25~『男はつらいよ 奮闘篇』(第7作/1971年)
2024年発売予定!Blu-rayよりも更にクリアかつ美しい画面で、記念すべき第1作『男はつらいよ』をみることができる!
フルHDの4倍!「3840ピクセル×2160ピクセル」の解像度(画素数)で、質感や物の細部までよりリアルに再現されています。
その圧倒的な映像の美しさや鮮やかさが映画ファンから人気を博し、洋邦問わず名作の4K UHD化が続々と発表されています。古き良き昭和のあたたかな雰囲気や下町の景色と共に、元気はつらつな寅さんのハチャメチャぶりが爆笑を誘う第1作『男はつらいよ』をぜひ4K UHDでお楽しみ下さい!
『男はつらいよ』(第1作/1969年/91分)
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、森﨑東 出演:渥美清、倍賞千恵子 他
発売日などの詳細については決定次第、発表いたします。
Amazon限定で発売している「Merch on Demand」サービスでの松竹映画アパレル・グッズ・シリーズ。
「寅年」をきっかけに毎年干支シリーズの「〇年の寅さん」ロゴ入りグッズを制作しています。
そして2024年の最新版「辰年の寅さん」ロゴ入りグッズが登場しました。
昇り龍がモチーフの切手ロゴ&カンフーポーズの寅さんシルエットで構成されたデザイン。
天高く昇る龍のように「成功」や「向上」したい人には見逃せないアイテムです。
<商品ラインナップ> 全て税込
・Tシャツ 【全6色】 2,980円
・長袖Tシャツ 【全4色】 3,690円
・トレーナー 【全4色】 4,500円
・パーカー 【全4色】 4,800円
・ジップパーカー 【全4色】 5,000円
・スマホケース 【全2色】 各2,500円
★詳細・購入はこちらのページから
『男はつらいよ』55周年に寄せて
「寅さん」こと車寅次郎という人物の魅力とはなんだろうか。誕生から半世紀を超えてもなお、人々がいまでも彼のことを忘れないのは、なぜだろうか。
寅さんは人一倍の深い「情」を持っていて、困っている人々をみると放っておけない。親との関係に悩む娘、恋心を抱きながらも行動に移せない者、大金を騙し取られた芸者、不治の病に侵された貴婦人、大切な家族を亡くした人……。寅さんは彼ら彼女らに寄り添い、共に心を痛め、叱咤激励し、時に自らの空回りが思いがけず功を奏するなどして、周囲の人たちの心を癒し、背中を押して次の一歩を踏み出すきっかけを与える。
しかし、寅さんが持っている価値基準は「情」だけであり、統一した基準を持たない。要するに無茶苦茶なのであり、そこが寅さんの魅力なのだが、私たちは誰もが「寅さんのようには生きていけない」ということを知っている。困っているときには頼りになり必要とされるが、問題が解決すると途端に厄介者になる人物だ。寅さんは困難な時代でこそ光り輝き、人々を救ってくれるスーパーヒーローだとすれば、暗く、重苦しい今の世の中にこそ逢いたい人物ではないだろうか。
弱った人間を励ます時に、寅さんは的確にその人を慰める言葉を持っている。
「おい青年!」「労働者諸君!」と呼びかける時、<日本の未来は君たちにかかっている>という期待を込めて励ましている。その言葉の根底には、<自分はだめな人間だ>という想いがある。「お前は俺と違うんだぞ、立派なんだぞ」と、低い位置から応援している。
そんなだめな男の破天荒な言動に、周囲の人々は「馬鹿だねえ」と笑い、呆れながらも、寅さんを愛していく。「笑い」は人の内側で、心が自由になる感動だ。めちゃくちゃな価値観を許している自分にホッとして、そのひと時解放される。
大人だけではない。寅さんに憧れる子供たちに何人も出会ってきた。きっと彼らも大人と同じように、生きる苦しさを味わっているのだろう。
遠い他国を旅している寅さんよ、帰って来てくれ。そして魂が自由であることの喜びを、もう一度味わせてくれ。
山田洋次
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今後、まだまだ数多くの企画を発信して参りますので、ぜひご期待下さい!