『見送るさくら』像除幕式レポート!「お兄ちゃん、もう寂しくないよ」|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト| 松竹株式会社

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『見送るさくら』像除幕式レポート!「お兄ちゃん、もう寂しくないよ」

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3月25日、『男はつらいよ』の寅さんの故郷である柴又駅の駅前広場にて、
寅さんの妹・諏訪さくらの銅像『見送るさくら』像の除幕式が行われました。

1999年、柴又の駅前に振り返る寅さんの姿を彫った『フーテンの寅』像が設置されました。それから、たびたび多くの人から寄せられていたのが、振り返る寅さんの視線の先に見送るさくらさんがいてほしい…という声。そして、寅さんが柴又駅前に立って18年目となる今年、ついにそのファンたちの願いが実現しました!

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除幕式には山田洋次監督とさくら役の倍賞千恵子さんも出席。駆けつけた多くのお客さんたちが見守る中、寅さんの像の視線の先に、エプロン姿で微笑むさくらさんが姿を現しました。約20年ぶりに、寅次郎とさくらの兄妹が柴又で再会を果たした瞬間です。

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「さくらの像ができたのは、本当に僕にとってもうれしいこと。
寅さんの彫刻ができたときから、さくらにいてほしいなと思い続けていた。これができたことで、二人で一つの対になった」

と喜びを語る山田洋次監督。今回、寅さんを見送るさくらの銅像を作るにあたって、
山田監督が『ある別れ』というタイトルの脚本を書き、さくらの像の土台に刻まれています。

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「なんだか、私の妹がいるような感じ」と自身が演じたさくらの像を見て感慨深げだった倍賞千恵子さん。
『男はつらいよ』シリーズが幕を閉じて、長い年月が経ちましたが、
「不思議だなと思うんですけれど、柴又を歩いていると、お兄ちゃんがひょろっとどこかから出てきそうな気がして」
と話し、山田監督も「寅さんのいる町なんだなあ、柴又は」とうなずいていました。

『男はつらいよ』全48作を通して、寅さんは孤独な旅人でした。山田監督いわく、「駅ではいつも怒ったような顔をしていた」寅さん。確かに、シリーズの中では、家族と喧嘩をしたりマドンナに振られたりして、やるせない怒りや寂しさを抱えて柴又駅から旅立つことが多くありました。

けれど、寅さんは本当に孤独だったのか?というと、決してそうではなかったと思うのです。
なぜならば、妹のさくらがいたから。

いつでも兄を案じて帰りを待ち、そして、旅に出る兄を送り出していたさくら。この優しい妹との絆こそが、寅さんを真の孤独から守っていたに違いありません。だから、寅さんは、長い旅を終えた後、いつもさくらがいる柴又へ帰ってきたのでしょう。

この日、倍賞千恵子さんは、“さくら”として、自由奔放なフーテンの兄・寅さんへ次のような言葉を贈りました。
 

「お兄ちゃん、もう寂しくないよ。あたしいるからね」


「いつ帰ってくるの、今度?」



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今もきっと日本のどこかを旅している寅さん。故郷の柴又で、さくらさんの像が帰りを待っていますよ!

銅像になったさくらを演じた『男はつらいよ』をはじめ、これまで約170本もの映画に出演してきた
倍賞千恵子さんの特集上映が、今年の秋(9/2(土)~9/29(金)神保町シアターにて開催されます

除幕式当日、倍賞さんご自身も「びっくりしました。こんないろいろな映画に出ていたんですね(笑)」と冗談交じりにお話されていましたが、数ある作品の中から、この特集上映では、『男はつらいよ』シリーズや、『下町の太陽』など、厳選した16作品を一挙上映予定。女優・倍賞千恵子さんの軌跡を知ることができるまたとない貴重な機会です。どんな作品が揃うか楽しみですね!

 

取材/文:田下愛