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【満員御礼】倍賞千恵子さんご来場、「女優・倍賞千恵子特集上映」舞台挨拶レポート

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 今月9月2日より神保町シアターにて開催中の「女優・倍賞千恵子」特集上映。

 倍賞千恵子は国民的大人気シリーズ映画『男はつらいよ』(69~95)の寅さんの妹、兄を優しく見守り支えるさくら役を演じ、人気を不動のものに。映画出演本数は約170本にものぼります。本特集上映では、倍賞千恵子にスクリーンで出会えて良かったと思える、厳選された珠玉の17作品を上映致します。

 そして、この度9月6日(水)に倍賞千恵子が舞台挨拶を神保町シアターにて実施いたしました!

 渥美清と初めての共演作『水溜り』の上映終了後に倍賞千恵子登壇の舞台挨拶を実施しました。

 ※のちに『男はつらいよ』で26年間兄妹役として女優生活を共にした渥美清との初めての共演作です。

 神保町シアターは平日の日中にも関わらず満員のお客様。朝11時のオープンを待たずに朝から長蛇の列ができ、チケットは完売。その後も舞台挨拶がないにもかかわらず、満席が続くなど大盛況となりました。

 また、神保町シアター以外でも【大阪】シネ・ヌーヴォ(10月7日~)、【神奈川】横浜シネマリン(11月4日~)、 【愛知・名古屋】シネマスコーレ(12月2日~)と全国の劇場で上映が決まっております。

今回は、舞台あいさつの様子をお届けいたします!


 

MC:本日はこの舞台挨拶のために、わざわざ北海道から駆けつけて下さったとお聞きしております。
それでは、一言ご挨拶をお願いいたします。

倍賞:『水溜り』を今日みなさんに見ていただきましたが、あれから56年後の倍賞千恵子です。
今月の29日まで神保町シアターにて上映しますので、 ぜひ色々な倍賞千恵子をご覧いただければと思います。 本日は宜しくお願い致します。

MC:それではいくつかご質問をさせて頂きます。

いま『水溜り』の上映が終わったばかりですが、『水溜り』と言えば、あの渥美清さんと初めて共演された作品です。渥美さんとの初めてお仕事をされた印象は如何でしたでしょうか?

倍賞:実は撮影後しばらく、あの役が渥美清さんだということを知らなかったのですが、 だいぶ経った後にインタビューで気付きました。 そのため、最初に共演したときの印象はあまりなく、「お金をもらったおじさん」という印象でした。

※倍賞はスカートをめくりマッチの火で見せてお金を稼ぐ少女、渥美はその客という役だった

MC:倍賞さんといえば『男はつらいよ』のさくら役を思い浮かべる方が多いと思いますが26年間にわたって演じてこられた「さくら」とは倍賞さんにとってどのような存在でしょうか?

倍賞:今までに170本の映画に出ていますが、そのうち48本が『男はつらいよ』ですので、だいたい1/3はさくらを演じていたことになります。

『男はつらいよ』という作品自体が、私にとっての日本人の情や、人間の在り方、人がどう生きていくか、 政治や世間といった色々なもの、さらに学ぶこと自体を、さくらを演じることを通して学びました。

MC:山田洋次監督との初作品となる『下町の太陽』で演じられた町子は『男はつらいよ』のさくらにも通じるものがあったと思います。

倍賞:『下町の太陽』という作品を通じて、一番初めに”庶民派”というイメージができた映画であり 、今の私にいたるまでのとても大事な役であり、歌も現在も歌い続けている大切な作品です。 そして山田監督に出会えた作品でもあります。

私自身はおっちょこちょいで芯が弱いのですが、 二人に共通している“芯が強いが男性をちゃんと立てている日本人女性独特の美学”というのが山田監督の日本人の女性の捉え方であり、それを演じてきました。そういった点で共通するものがありますね。

MC:山田洋次監督とは多くの作品をご一緒されていますが『霧の旗』は今までとは違い、難しい役どころだったと思います。役作りなどはどうされたのでしょうか?

※「『霧の旗』をご覧になった方はいらっしゃいますか?」と質問する倍賞に、多くのお客さんが手を挙げる。また、客席からは「最高!」との声も上がった。

倍賞:私自身もお気に入りの作品で、数年後にもう一度撮りたいと思った作品のひとつでした。 友達の故・川島なお美さんがあの役をやったらいいのではいかと本人に進めたこともありました。

役作りという訳ではないのですが、集中力を付けるため、『霧の旗』の撮影時は毎日三点倒立をしていました。 毎朝、かかさず三点倒立をしてから撮影に入っていたため、あまりのストイックさに、自分自身で怖くなってしまいましたが、結果として復讐者という難しい役を演じることができました。

MC:山田監督とタッグを組まれた作品のひとつ、『遙かなる山の呼び声』では『幸福の黄色いハンカチ』に続いて高倉健さんと共演されています。印象に残っている高倉さんとの共演エピソードをお聞かせいただけますでしょうか?

倍賞:寡黙な印象で、大先輩であり大スターだったので共演の際は緊張していたのですが、ある日、喫茶店での打ち合わせの際に自分の腕時計をおもむろに外し、水のコップの中に入れてしまって。 「防水だから大丈夫です」と、緊張をほぐしてくださりました。

また、とても楽しい人で、撮影の休み時間に小道具さんをアナウンスで呼び出したりとイタズラをしたりする事もありました。演技の時との集中力の切り替えがすごい方でした。

MC:初めてお会いした時の山田監督の印象はいかがでしたか?

倍賞:山田監督が2本目の映画の撮影中にスタジオにお伺いしたのですが、ものすごく粘り強い人なんだなという印象でした。いつも色々な角度で作品をよくする方法を考えて撮影していらっしゃいました。

よく台本に号外が出て、朝、撮影前に書き直されたページを渡されることがあり、”号外ほやほや”と呼んでいました。『下町の太陽』の時も号外が出ていました。

また、下町の太陽での撮影時、何度もリテイクになり悲しくて泣いてしまったのですが、後日聞いたところ本人はこのエピソードを覚えていませんでした。ただ、それは当時映画作品と主題歌の中で在り方を悩んでいたそうです。

MC:(MC自身が)私自身が現在26歳なのですが、倍賞さんは26歳の頃『愛の讃歌』を撮影されていた頃だと思いますが、どんな26歳だったのでしょうか?

倍賞:実は、『愛の讃歌』を撮影した頃は失恋をしてパリに一人旅をしていました。行く前に松竹の人から本を渡され、原作者のマルセル・パニョルに会ってサインを貰ってきて、と頼まれた本が『愛の讃歌』だったんです。

もし、失恋していなかったら『愛の讃歌』は出来ていなかったかもしれません。(笑)私にとっては大変な冒険でしたが、良い機会でした。ぜひ、一人旅をしてみてください。

MC:いよいよ最後の質問になってしまいました。これからの女優人生について、どのように過ごしていきたいと思われていますでしょうか?

倍賞:170本出演し、もう良いかと思っていましたが、来年やりたい作品が2本ほどあるからもうちょっとやってみようかなと思っています。

あまり女優をやるぞ!とは考えておらず、人間としてたくさんの人と出会い、楽しく生きていくというのが私のこの先の女優人生かなと思っています。


途中、観客席に話しかけるなど、気さくでお客様との距離が近い倍賞千恵子さん。会場には多くの熱心なファンが訪れ、チケットは当日11時オープンを待たずに完売しました。

舞台挨拶終了後には発売されたばかりの書籍「倍賞千恵子の現場(PHP出版)」のサイン入り書籍お渡し会も開催し、こちらにも多くのお客様が参加されました。一人一人の方と丁寧に握手を交わして目を合わす姿にファンの方々も大変満足げに帰られました。


舞台挨拶回の次も満席となり、大盛況となった本特集上映は、週替わりで倍賞千恵子出演作品を35mmフィルムにて上映。

9月29日まで4週にわたり、全17作品が上映されます。

また、神保町シアター上映後も【大阪】シネ・ヌーヴォ(10月7日~) 【神奈川】横浜シネマリン(11月4日~) 【愛知・名古屋】シネマスコーレ(12月2日~) と全国各地をまわって行きますので、是非、各劇場にて倍賞千恵子さん出演作品をご覧ください。

「女優・倍賞千恵子特集上映」
※上映イベントは終了いたしました。

女優・倍賞千恵子特集ティザーチラシ

▶倍賞千恵子さん公式サイトはこちら