渡瀬恒彦

渡瀬恒彦わたせつねひこ

1944~2017年

プロフィール

兵庫県淡路島出身。大学卒業後、広告代理店勤務を経て、1969年、東映入社。映画『殺し屋人別帳』(70)主演で銀幕デビュー。映画の代表作は『皇帝のいない八月』(78)『戦国自衛隊』(79)や『時代屋の女房」(83)『セーラー服と機関銃』(81)『南極物語』(83)ほか多数。TVドラマでは「十津川警部」シリーズ(92~15)、「タクシードライバーの推理日誌」シリーズ(92~16)、「おみやさん」シリーズ(02~16)、「警視庁捜査一課9係」シリーズ(06~16)で主演を務め、活動は多岐にわたった。

映画『震える舌』(80)撮影風景 左から渡瀬恒彦、野村芳太郎

映画『震える舌』(80)撮影風景 左から渡瀬恒彦、野村芳太郎

野村芳太郎監督作品とのかかわり

5作品に出演。大岡昇平の同名小説が原作の映画『事件』(78)は、「姉妹が一人の青年を愛し、奪い合った果てに起きた殺人」を題材に、若者の不安定な青春を描いている。この作品で、渡瀬は、東映以外の映画会社の作品に初めて出演。姉のヒモであるやくざを好演し、その演技は高く評された。翌年の作品『震える舌』(80)は、幼い一人娘が、突然、破傷風に感染し、命の危機にさらされ、逃げ場のない不安に極限まで追いつめられていく両親の苦悩と葛藤を描いており、父親の心情が伝わってくる渡瀬の表情、演技によって、今なお普遍性のある作品となった。