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🦎『黒蜥蜴』🌹『黒薔薇の館』Blu-ray&DVD発売記念上映!初日トークイベントレポート

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Blu-ray&DVD発売記念!『黒蜥蜴』『黒薔薇の館』上映が6月6日(金)からBunkamuraル・シネマ渋谷宮下にて始まりました!

上映初日の6月6日(金)には、美輪明宏さんの大ファンであり、ドラァグクイーンとしてテレビ・映画・舞台・コンサートなどマルチに活躍しているドリアン・ロロブリジーダさん、映画ライターのよしひろまさみちさんをお招きしてトークイベントが行われました。映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラさんが聞き手となり楽しいトークとなりましたので、その一部をご報告します!

この日のドリアンさんの衣装は、本上映に合わせて🌹黒薔薇のヘッドドレスと🦎トカゲがあしらわれたドレスで登場され、冒頭に「今日は個人的には8時間やりたいと思っておりますので、みなさまと耐久レースと思ってぜひ楽しく盛り上がりたいと思います」の言葉から会場は大変な盛り上がりとなりました。

美輪明宏さんについて

奥浜さんの「ドリアンさんはリスペクトコンサートもなさっているくらいですから」という問いかけに

ドリアンさん「リスペクトコンサートというと聞こえはいいですけれども(笑)本当に勝手に誕生日を祝って勝手にやっただけのコンサートではあるんですけれども、でも、私は17、8(歳)くらいの時から美輪明宏さんに本当に心酔しておりまして、私が初めてお付き合いした方がいらっしゃったんですけれども、その方が界隈で老女優と呼ばれている方で、「老女優」というと美輪明宏好きだったらすぐわかると思うんですけれども、美輪さんが「老女優は去りゆく」という名曲を歌われているんですけれども、その老女優を名乗り、呼ばれるほど美輪明宏フリークで、詳しい方で、そこで美輪明宏の「み」の字から「ろ」の字まで徹底的に教えてもらいました。舞台、映画、音楽、バラエティーなど様々な美輪明宏をいろいろ叩き込まれまして、そこからずっと好きですね。」

『黒蜥蜴』について

よしひろさん「みなさんご存知かもしれませんが、美輪さんの80年代初めはすごく調子崩されていて、活動を控えめにされていた時期があったんですが、『幻魔大戦』で復帰されて、そこからですよね、黒蜥蜴の舞台化に向けて走り始めて」

ドリアンさん「美輪さんがライフワークとされているようなお芝居というのはたくさんあるんですけれども、そのなかでもより一層熱い情熱をかけて手がけられていたのがこの『黒蜥蜴』だったかなというふうに思っておりまして、この当時の『黒蜥蜴』の映画の資料を拝見したら、この『黒蜥蜴』の作品(※映画)が出る前から、美輪さんは、『黒蜥蜴』の舞台を主演としてやられていて、満を持しての映画化という形でできたのが、こちらの深作さんの『黒蜥蜴』だったわけです。」

よしひろさん「実は『黒蜥蜴』をだいぶ小さい頃に何かの方法で見ているんです。多分ビデオだと思うんですけれども、それで鮮烈に焼き付いたのは、三島由紀夫。筋肉も見せ場ですし、綺麗だなということを覚えていて、最初、美輪明宏さんという人は女性だと私は思い込んでいたのですが、それを観ているところに現れた父が「丸山明宏の映画か」と言って、丸山明宏とはというところから教わりまして、なるほどすごい人生を歩んでらっしゃる方なんだと、そこからですね、はまったのは」

ドリアンさん「そうですね、言ってみれば割と無茶なお話だとは思うんですよ。でも、まあ荒唐無稽と言っては言い過ぎかもしれないんですけれども、やはり江戸川乱歩さんが作り上げられたこの耽美な世界だったり、それを三島さんが戯曲化したというところで、いわゆるリアルなお話ではない中で、いろいろな、矛盾点だったり、それはやり過ぎなんじゃない? みたいなちょっとしたクエスチョンを美輪明宏さんの美貌とお芝居で、全部を根こそぎ口を封じられるという。どういうこと?と思う瞬間は幾度となくあると思うんですけれども。でもいいんですよ、美輪明宏さんは綺麗だから」

よしひろさん「たぶん私の世代で明智小五郎、江戸川乱歩シリーズっていうと天知茂さんのドラマ版が一番印象に残っている方が多いと思うんですよね。ものその後ね、何代も明智小五郎役っていうのは代わっていきましたけれども、これほど明智小五郎の影が薄い映画というのはないと思うんですね。全てヒールが持っていく。
基本的に明智小五郎シリーズは最後は明智さんが全部かっさらっていくはずなのに、この作品は美輪さんが、ずーっとかっさらっていくという・・・」

奥浜さん「明智小五郎登場とはいえ、こんなに薄くていいのかな?という」

よしひろさん「薄いですよね、でも薄くないと美輪さんが綺麗に見えないから、これでいいのかと」
ドリアンさん「でも松岡きっこ綺麗よね、どっちとも(2作品とも)あんなに現代的な美人だったんだと。すごく綺麗だった」

『黒薔薇の館』について

ドリアンさん「みなさんやりたい放題ね。たぶん着替えの回数が2、30回、もう全てをお召し変えされていて」

よしひろさん「他のどんな役よりも衣装が多かったですね」

ドリアンさん「すごかったですね。本当に綺麗な美輪さん、ハッチャケる美輪さん、ちょっと半狂乱の美輪さん、おきゃんな美輪さん、いろいろな美輪さん観れるから、なんかお腹いっぱいです。でもストーリーはいいんです。美輪さんが綺麗になんだから。そして田村正和さん!」

よしひろさん「田村さんが若い頃から古畑任三郎なんですね。完成されている。」(笑)

奥浜さん「美輪さんの演じる役はお父さんの愛人の役という設定ですから」

ドリアンさん「また小沢栄太郎がいいんですよね。あの頃の作品には大体渋めの役で出られていますけれども、あの方の声がまた良くてね。この両方の作品に共通して出られているのが西村晃さんでございます。水戸黄門の(※役を演じられていた)

よしひろさん「直後で言うと、「ルパン三世」複製人間マモーをやっていらしてね。この『黒薔薇の館』と『黒蜥蜴』の両方なんですけれども、本当にDVD化されなくてね。ずっとVHS。そのVHSですら、私、20代前半ぐらいに勤めていたレンタルビデオ業界誌の会社の近くに新宿のTSUTAYAに1本ずつしかなくて、他の街のTSUTAYAに行ってもなくて、それは何でかと言ったら、レンタルビデオの業界って基本的にレンタルが落ちた、劣化したものは販売したちゃうんですよね。どんどん流れてしまって、なぜか新宿だけは1本ずつ残っていて」

ドリアンさん「私も20代の時に見たの新宿TSUTAYA」

よしひろさん「だからずっとその2本はビデオの画質で観ていたから、結構ハイビジョンに初めてなったのがWOWOWで放映されたときなんですけれども、それを観たときに、あれ?こんなだったっけ?と思いました。VHSがあまりにも画質が悪かったから」

ドリアンさん「私も本当にそれこそ新宿のTSUTAYAで借りて、当時『黒蜥蜴』マラソンをしていたので」

よしひろさん「マラソンとは?」

ドリアンさん「だから京マチ子さん、美輪明宏さん、岩下志麻さん、いろいろな方が演じられる『黒蜥蜴』マラソン。あと『犬神家(の一族)』マラソンとかやっていて。そのなかでも美輪明宏さんの『黒蜥蜴』はまた本当に特殊というか、何か一つ違う味わい、情感みたいなものをずっと漂っているので、本当に特別な存在ですね、『黒蜥蜴』のなかでも」

よしひろさん「この言葉が死語になってしまったけれども耽美よね、耽美でデカダン」

ドリアンさん「他の黒蜥蜴シリーズは、やはり謎解きミステリーだったりするのだけれど、こちらもストーリーというか、絵の美しさだったり、歌の美しさだったり美輪さんの美しさだったりみたいなもので、ごり押ししてくる、それが気持ちいいんのよね。途中まで、もしかしたら、みなさんもこれってどういうこと?って思われているかもしれないんだけれども、途中で思ったと思うんですよ、自分は美輪明宏さん主演の映画にどんな論理的整合性を求めてしまっていたのか。違うんです。美輪明宏を浴びればいいんですよ。」

よしひろさん「眼福、眼福!」

ドリアンさん「しかも深作欣二さんというね。「仁義なき」の前ですものね。本当に気鋭の監督だった深作さんと組まれたということでしょうね。」

よしひろさん「当時活躍していた耽美な画の作りで、結構エグイ、そして我々のコミュニティーでは好きなとなると深作か五社さん。」

ドリアンさん「ああ、五社さんの『黒蜥蜴』も観たかったなあ。」

奥浜さん「タランティーノ監督が『黒蜥蜴』は影響を受けたって話がありますね」

よしひろさん「言ってましたね。『キルビル』あたりで言ってました。」

『黒蜥蜴』お気に入りのシーンについて

ドリアンさん「そうですね、いろいろあるんですけれども、最後、美輪さんがソファかカウチみたいなに倒れ込むところのもったいぶり感。4秒ぐらい溜めてくるくるくるってやって、そこからふぁさって綺麗に。あれこそがもう歌舞伎ですよね。形が素晴らしいから。あそこを見ているとニヤニヤしちゃう。
あと男装、あのドヤ感。私もよくドラァグクイーンで男装したりすることもあるんですけれども、麗人である美輪さんが女装してさらに男装するという、こんがらがっている感じが私は好きでしたね。」

よちひろさん「三島由紀夫さん登場シーン。何だろう、この妙な絡みを見せられる私。」

奥浜さん「今年は三島由紀夫生誕100周年を迎えるそうで、そういう意味でも、スクリーンでこれが見られることはとてもラッキーなんですけども」

ドリアンさん「100周年にもいいタイミングだったんですね。」

奥浜さん「『黒薔薇の館』もそうですけど、田村正和が美輪明宏さんにとても翻弄される役ですが、あのあたりの描き方、深作さんがすごくこだわって撮っているなという気がしますよね」

よしひろさん「綺麗なもの同士というのが基本的に深作さんの娯楽映画でよくあるパターンじゃないですか。後期の『バトルロワイヤル』とか、綺麗どころしか見せ場を作らないというか、柴崎さん最高だったじゃないですか」

ドリアンさん「なるほどね。『黒薔薇の館』も言ってみれば黒薔薇の館という館があって、サロンがあって、そこに通う名士たち。本当にいろいろな社会的な名士たちが、美輪明宏さん演じる謎の女竜子にいろいろ翻弄されていくみたいな話なんですけれども、ほぼほぼオムニバスみたいな」

よしひろさん「何か翻弄されている男の一人語りが異様に長いという」

ドリアンさん「そうなんですよ。独特の描き方。西村晃さんもそうですし」

よしひろさん「西村晃さん一人舞台は最高でしたね。」

するとドリアンさんが物まねをして「あの悦楽の夜を忘れない、私は」と劇中のセリフで演じると会場はさらに大いに盛り上がりました。

ドリアンさん「その回想シーンの中の西村晃さんが弓でぶっ叩く何かギリシャっぽい格好をした美輪明宏さんも。本当に見る価値ありです。是非あちらも(『黒薔薇の館』)スクリーンで観たらこんな表情していたんだとか、いろいろな発見があるはずです。」

よしひろさん「エロティックですよね」

ドリアンさん「エロティックですよね~」

ほかに美輪明宏さんの作品でお気に入りは?

ドリアンさん「私は「老女優は去りゆく」「ボンヴォアヤージュ」。いろいろな美輪さんの魅力だったり、様々なお顔を持たれていると思うんですけれど、私は歌手としての美輪明宏が一番好きだったりするので、美輪さんが歌われる歌、特にオリジナルのナンバーや芝居っ気の多いナンバーに関しても、本当にもう子守唄のように18のときから聞いているので」

よしひろさん「やはり『黒蜥蜴』が一番好きは好きなんですよ。あの、衣装がね、そんなにお色直しがあるわけではないんですけれども、『黒蜥蜴』が当時公開された当時の劇場用の資料をみると、例えば<オーストリッチ羽毛を前面にあしらった純白のドレス、約30万、銀ラメのドレス約50万など総額300万を超える絢爛な装いで>」

ドリアンさん「当時の300万円がどのくらいの価値だったかと思うとね。でも本当にどれも素敵なのよね。『黒薔薇の館』もそうだけど『黒蜥蜴』の方がより洗練されたファッションな感じがする」

よしひろさん「自分がデザインしたものも含めて9点。この頃から衣装にこだわっていたのね」
ドリアンさん「『黒薔薇の館』のぱっつんのボブも好き。ヴィダルサスーン!みたいな美輪明宏が見れるのは、『黒薔薇の館』だけですからね。観たくなってきたでしょう。」

奥浜さん「美輪さんが指針になっている方が、こういう作品に触れるチャンスとなっていますので」

よしひろさん「絶対にスクリーンで観るべき作品ではあるんですけれど、お家でも楽しんでいただきたい」

ドリアンさん「<美輪ナイト>なんか、いいじゃない。2つ合わせて3時間くらいだから、ちょっとした週末の夜とか、ちょっと気持ちがダウンになっちゃたなぁというときとかは、今日は<美輪ナイト>にしようって、この2つを掛ければいいじゃないですか。元気があったら「黙れ小僧」(※劇中のセリフ)とかね」

最後にドリアンさんから

「美輪さんが先日5月15日で90歳の誕生日を迎えられたということなので、やはり我々と言っていいのかわからないですけれど、我々美輪明宏ファンとしては、ここから99、100、150ぐらいまで頑張っていただきたいと思います。本当にありがとうございます。」

ご登壇くださったドリアン・ロロブリジーダさん、よしひろまさみちさん、奥浜レイラさん、楽しいお話をありがとうございました!

🌹上映のお知らせ🌹Blu-ray&DVD発売記念!『黒蜥蜴』『黒薔薇の館』2025年6月6日(金)~12日(木)1週間限定上映!
  『黒蜥蜴』   13:30 / 19:00~(終)20:45
  『黒薔薇の館』 15:40~(終)17:25
   ※フィルムの状態によっては、映像と音声にお見苦しい箇所がございます。予めご了承ください。
◆場所:Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下 www.bunkamura.co.jp
    https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/25_kurotokage_kurobara.html

🦎ナイモンチャンネル ドリアン&よしひろまさみちの新宿二丁目映写室  映画ライターのよしひろまさみちさんと、映画好きのドリアン・ロロブリジーダが珠玉のクィア映画を紹介していく企画です。トークイベントの様子は6月20日配信予定ですのでお楽しみに!
https://www.youtube.com/@9monchannel

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美輪明宏が主演した伝説の大ヒット映画『黒蜥蜴』『黒薔薇の館』
2作品がセットとなり待望のBlu-ray&DVD化!2025年6月11日(水)に発売!
詳しくはこちらhttps://www.cinemaclassics.jp/news/4091/