大曾根家の朝

戦争という時代の波に翻弄されていく
一族の母の悲しみと怒りがついに爆発する!

見どころ

我が子を次々と奪っていく戦争とそれに協力、便乗する者たちを告発した戦後初の木下作品!

あらすじ&解説

戦争が始まり、自由主義を尊ぶ由緒正しき家柄の大曾根家もまた、厳しい時代の波に翻弄されていく。長男は特高に捕まり、次男と三男は出征。代わって軍人の叔父夫婦が我が物顔で家に出入りするようになる。やがて戦争が終わり、三男の戦死を知った母の悲しみと怒りは……。 戦争が終わり、それまでの情報局に代わってアメリカGHQの占領下に置かれた日本映画界の中で、木下惠介監督はGHQの民主化政策に沿いつつ、それまで自分たちを苦しめてきた戦争と軍国主義への怒りをひとりの母の想いに集約させていく。それは同時に、ようやく民主主義の時代が到来した喜びでもあり、木下監督の戦後の大きな飛躍へと繋がっていく。劇作家・久板栄二郎の脚本を得て、木下監督は徹底した演劇スタイルでこれを演出。キャメラは室内からほぼ出ることなく、映画的空間を豊かに構築しているのも特筆的である。

公開日
1946年02月21日
本編尺
81分
受賞歴
・1946年度キネマ旬報ベスト・テン第1位
・第1回毎日映画コンクール脚本賞、演技賞(小澤栄太郎)
キャスト
杉村春子 小澤栄太郎 三浦光子 増田順二 東野英治郎 長尾敏之助
スタッフ
製作・企画: 細谷辰雄
監督: 木下惠介
脚本: 久板栄二郎
撮影: 楠田浩之
照明: 豊島良三
音楽: 浅井擧曄
録音: 大野久男
美術: 森幹夫
編集: 杉原よし