破戒

己の素性を隠して生きる若者の苦悩を描いた青春文芸大作

見どころ

差別と偏見に愛は打ち勝つのか?文豪・島崎藤村の世界を描き出す!

あらすじ&解説

時は明治の世、階級差別運動が始まりつつあった頃、教師の瀬川丑松は自分が被差別部落出身であることを誰にもしゃべってはならないと父からきつく言われ続け、誰にも悩みを打ち明けられずにいた……。 文豪・島崎藤村の名作文学の映画化。もともとは東宝で企画されていたものが東宝争議のあおりを喰らって製作不可能となり、代わって松竹京都で実現となったもの。京都と大船、松竹撮影所の東西一元化による演出家交流の第一弾として木下惠介が監督に抜擢され、初の京都撮影所での演出ともなった。また、ここで彼は脚本の久板栄二郎の進言を受け入れ、あえて原作を読まずに脚本のイメージだけで演出するという方法論を採ることで、自身の色を明確に描出。千曲川の美しい自然を背景に、問題提起よりも若者なら誰しも内抱する人生の苦悩そのものを抒情的に綴ることに成功している。

公開日
1948年12月06日
本編尺
99分
受賞歴
・1948年度キネマ旬報ベスト・テン第6位
・第3回毎日映画コンクール監督賞
キャスト
池部良 桂木洋子 滝沢修 宇野重吉 山内明 薄田研二
スタッフ
製作顧問: 松本治一郎
製作: 小倉浩一郎
監督: 木下惠介
原作: 島崎藤村
脚本: 久板栄二郎
撮影: 楠田浩之
照明: 村田政雄
音楽: 木下忠司
録音: 高橋太郎
美術: 本木勇
編集: 相良久
助監督: 小林正樹、滝内康雄