太陽とバラ

貧しい青年が太陽族に憧れ、惑わされ
やがては破滅していく壮大な悲劇!

見どころ

米ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞
反骨の社会派青春映画

あらすじ&解説

貧しい家庭に育った清は、行き場のない怒りを晴らすかのように非行を繰り返し、そのつど母を悲しませている。そんな中、彼は太陽族のブルジョア青年と出会い……。 太陽族や愚連隊など、非行が肯定されがちな戦後の風潮に憤った木下惠介監督が、持ち前の抒情性を排して制作した反骨の社会派青春映画。いわば金持ちのお遊びにしか見えない太陽族や愚かなヒロイズムに過ぎない愚連隊の台頭は、貧しい弱者を惑わせるものであり、排除されてしかるべきもの。しかし、映画がそのことを強く訴えるごとに、反逆と破滅の中から弱さを忍び出す主人公青年から巧まずして若者特有のナイーブな美が炸裂し、一方で母と子の交流の中から抒情性が醸し出されてしまうあたりは、やはり木下映画。『日本の悲劇』が戦後の母の悲劇を描いたものなら、本作は戦後の息子の悲劇を描いたものとして、見事な対にもなっている。

公開日
1956年11月14日
本編尺
85分
受賞歴
・1956年度米ゴールデングロー日賞外国語映画賞
・1956年度キネマ旬報ベスト・テン第9位
・第11回毎日映画コンクール女優助演賞(沢村貞子)
・第7回ブルーリボン賞助演女優賞(久我美子)
キャスト
中村嘉葎雄 石濱朗 沢村貞子 有田紀子 久我美子 杉田弘子
スタッフ
企画: 久保光三
監督・脚本: 木下惠介
撮影: 楠田浩之
照明: 豊島良三
音楽: 木下忠司
録音: 大野久男
美術: 梅田千代夫
編集: 杉原よ志 大槻義一