1931年岐阜県生まれ。1953年早稲田大学文学部演劇科卒業。松竹撮影所に入社。1960年『恋の片道切符』で監督となる。その後、大島渚、吉田喜重らと共に松竹ヌーベルバーグの一人として前衛的な作品を発表。1966年松竹を退社してフリーとなり1967年独立プロ「表現社」を妻の岩下志麻と共に設立し自主製作を始める。
以降、心中もの、歴史劇、ドキュメンタリーと幅広いジャンルを手がけ、徹底した時代考証に基づきながら現代的な批評眼を失わない独自の映像世界を確立していく。なかでも、近松門左衛門の人形浄瑠璃を斬新な様式美で実写化した『心中天網島』(1969年)や、遠藤周作の原作を重厚に描き出した『沈黙 SILENCE』(1971年)は、国際的にも高い評価を獲得した。
『はなれ瞽女おりん』(1977年)では、厳しい自然の中で生きる盲目の旅芸人の過酷な運命と情念を、妻でもある俳優・岩下志麻を主演に迎えて圧倒的な映像美で描き出した。本作は、日本のアニミズムや土着の精神性を鋭く問い直し、篠田映画におけるひとつの到達点として今なお語り継がれている。その後も、叙情豊かな名作『少年時代』(1990年)などで多くの映画賞に輝き、鋭い知性と視覚美を兼ね備えた作品で観客を魅了した。2003年、日独合作の大作『スパイ・ゾルゲ』を最後に映画監督引退を表明。
引退後も、日本文化や歴史に対する深い造詣を活かした執筆や講演活動を精力的に行い、日本映画の黄金期を支え、その精神を現代へと繋ぎ続けた知性派の映画監督。2025年3月25日 逝去。
『恋の片道切符』で監督になる
大島渚、吉田喜重らと共に、松竹ヌーベルバーグの一人として前衛的な作品を発表し始める
『夜叉ケ池』4Kデジタルリマスター版 を監修
第74回カンヌ国際映画祭 クラシック部門出品