ときは江戸時代、ところは花のお江戸。呑気に釣りを楽しむ浪人・浜崎伝助が、ひょんなことから大店のご隠居と意気投合。釣りの指南をすることに。そのご隠居こそ、庄内藩江戸屋敷家老・鈴木一之助だった。そうとも知らず伝助は、庄内藩に仕官が叶って、兄想いの妹・美津（酒井法子）や長屋のご隠居・甚兵衛（谷啓）は大喜び。ところが、やる事成す事マイペースな伝助に、上役たちは呆れ顔。ある日、伝助は、奥女中・小浪（黒木瞳）にひと目惚れしてしまう。
シリーズ外伝的な時代劇スペシャル。山形県鶴岡市の“庄内藩”のお家騒動に“釣りバカ”コンビの先祖が巻き込まれる。“釣りバカ”の先祖ということもあり、シリーズで唯一、ハマちゃんが恋をするエピソードもある。庄内藩の江戸屋敷の役人たちは、まるで鈴木建設重役陣そのもので、スーさんの悩みは先祖伝来だったことがわかる。クライマックスは、鈴木一之助のお伴で、浜崎伝助が江戸から庄内まで隠密旅をすることになる。庄内浜や羽黒山など、庄内ロケが効果を上げている。
庄内藩江戸屋敷で鈴木一之助に仕える女中。一之助の庄内行きに同行、刺客に襲われた際に、得意の長刀で敵を倒す。ある日、江戸屋敷の庭の池で、鯉釣りをしている伝助をかくまったことから、他の侍にはないノンビリとした性格の伝助に魅かれてゆく。
何かにつけノンビリ者の伝助を支えるしっかり者の妹。手内職をして生活をささえ、仕官よりも釣りをすることが生き甲斐の兄の最大の理解者でもある。一之助のボディガードである数馬との間にほのかなロマンスも芽生える。
一之助に絶大な信頼を寄せている庄内藩主。無類の釣り好きでもあり、たった一晩の釣果と、魚拓を自慢する。それを疑う伝助に、庄内の釣りを指南しようとするが・・・。
ハマちゃんの先祖は、世の中が大きく変わりゆく幕末に、それとは全く関係なく、釣り一筋に過ごしている江戸の浪人・浜崎伝助。スーさんの先祖は、庄内藩江戸屋敷家老・鈴木一之助。ひょんなことから知り合った二人は、平成の“釣りバカ”同様、釣りの師弟となる。それがきっかけで、庄内藩へと仕官する伝助だったが・・・。呑気でマイペースなハマちゃん、人事に悩む経営者のスーさんは、江戸時代から全く変わらないようだ。
庄内藩江戸屋敷には、秋山定謙（加藤武）、原口儀八郎（竜雷太）、川島権兵衛（小野寺昭）、堀田茂太夫（鶴田忍）、服部殻之介（小野武彦）、そして日下部右馬助（中村梅雀）といったおなじみの鈴木建設重役陣の先祖と思しき人々が、愚にもつかない働きをして、家老・鈴木一之助を悩ましている。
神田白銀町の長屋に住んで六年の浜崎伝助には、しっかり者の妹・美津（酒井法子）がいて、貧しいながらも楽しく暮らしている。釣りばかりに熱中し、仕官もする気配がない伝助に、何かと口うるさいのが大家の甚兵衛（谷啓）。そんな伝助だが、果たして嫁取りはできるのか・・・。
庄内藩江戸屋敷家老に使える、女中の小浪（黒木瞳）は、屋敷の庭で鯉を釣る伝助と出会う。ひょんなことから、一之助の庄内藩への道中に同行することになる。一之助を亡き者にせんとする刺客から、その身を守るべく数馬（山田純大）と小浪が大活躍。その道中で、小浪は呑気な性格の伝助と心を通わせることとなる。
伝助たちが住む、神田の長屋の大家さん。演じるはもちろん谷啓。武士は店子にしないと決めていたが、六年前につい情にほだされて、伝助と妹・美津を住まわせることにした。しかし、甲斐性のない伝助は店賃を溜める一方、花の盛りを伝助にささげるお美津には同情的。口うるさいのは、佐々木課長そっくり。
大潮の夜、夜釣りに出かけた伝助と、一之助が偶然出会い、釣りを共にする。そこで釣り上げるのが、スズキ目・タイ科のクロダイ。庄内の山中で、伝助が渓流で釣り上げるのは、サケ目・サケ科のヤマメ。伝助が夢の中で、浜で馬に乗りながら釣り上げるのはスズキ目・タイ科のマダイ。ラスト、現代の“釣りバカ”コンビが釣り勝負に出るのは、日本海のマダイ。
藤沢周平の時代小説で知られる庄内藩は、羽前国田川郡庄内地方を領としていた、現在の山形県鶴岡市。最上川の白糸の滝の前を舟下りするシーンでは、漁師が八つ目ウナギを捕獲する場面もある。庄内浜など名所が次々と登場する。一之助一行が刺客に急襲されるのは、出羽三山の羽黒山にある、国宝羽黒山五重塔。庄内藩の鶴が岡城で藩主・酒井秀晴（市川団十郎）が伝助に釣りを指南する場面は、京都二条城の庭園で撮影された。また、数々の時代劇を生んだ、京都撮影所でセット撮影をしている。
| 公開日 | 1998年12月23日 |
|---|---|
| 上映時間 | 118分／ビスタ／ドルビー |
| スタッフ | 監督：栗山富夫 プロデューサー：瀬島光雄、中川滋弘、佐生哲雄 原作：作／やまさき十三 画／北見けんいち 小学館「ビッグコミックオリジナル」連載 脚本：山田洋次、朝間義隆 撮影：藤原三郎 美術：倉橋利韶 音楽：和田薫 照明：中島利男 録音：中路豊隆 編集：園井弘一 スチール：金田 正 企画協力：日本映像（株） ロケ協力：「釣りバカ日誌」山形県庄内地域ロケ地招致実行委員会 |
| キャスト | 西田敏行 （浜崎伝助） 黒木 瞳 （小浪） 中村梅雀 （日下部右馬助） 谷 啓 （甚兵衛） 加藤 武 （秋山定謙） 竜 雷太 （原口儀八郎） 小野寺 昭 （川島権兵衛） 鶴田 忍 （堀田茂太夫） 小野武彦 （服部殻之介） 細川ふみえ （若妻くに） ミッキー・カーチス （木村一刀齋） 鈴木ヒロミツ （大原真之介） 笑福亭松之助 （書役） 塩谷 俊 （岩辺金次郎） 児玉謙次 （深瀬清三郎） 岩崎ひろし （三味線師匠・熊） 市川團十郎 （酒井秀晴） 笹野高史 （ナレーション） 三倉茉奈・佳奈 （風鈴兄弟） 上島竜兵 （敵に間違われる男） 肥後克広・寺門ジモン （見物人） 大木こだま ひびき （駕篭屋） 長谷川稀世 （ふじ） 高松しげお （侘助） 不破万作 （大工・信吉） 石井トミコ （左官屋女房・とし） 山田純大 （数馬） 酒井法子 （美津） 三國連太郎 （鈴木一之助） |
